阪神もったいない5回の絶好機…岡田彰布元監督の言葉を思い出す 

[ 2021年7月5日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神3-4広島 ( 2021年7月4日    マツダ )

<広・神(10)>  5回 2死満塁 大山 三塁ゴロ   (撮影・成瀬 徹)       
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 【畑野理之の理論】どこで潮目が変わってしまったのだろう?初回、先頭打者の阪神・近本光司が初球真っすぐに反応して一塁線を破る三塁打。糸原健斗の一ゴロで幸先よく1点を先制した。3回はジェリー・サンズが2ランを放ち、早々と難敵・森下暢仁を攻略手前まで追い詰めていた。

 ふり返ってみれば、冒頭の答えはやはり5回の攻防になるのだろう。3―2の5回表、無死満塁と攻め立てた。しかも近本の二塁打と失策、四球…という相手ディフェンスはもう崩壊寸前。しかし、ジェフリー・マルテが一邪飛、佐藤輝明が空振り三振、大山悠輔も三ゴロで4番以降の3人でまさかの無得点に終わった。その裏に2死から逆転されると試合のムードは怪しくなり、6回2死二塁、7回1死一塁、8回1死一、二塁、9回1死一、二塁をすべて逃して追いつけず。結局、9イニングで3者凡退は一度もなかったものの、適時打もゼロで、残塁は12を数えた。

 なんでボール球を振るのだろう?見逃していれば押し出しやんか…と突っ込みたくなるシーンは何度もあったのだが、相手もある勝負事なので仕方がないと思っている。ミスや凡プレーがあったわけではないので、森下の気迫を称えるしかない。
 ただ、再三の好機で優位に立っているのになあ、苦しいのは広島の投手の方だけどなあと思いながら見ていた。思い出したのは、05年の優勝監督・岡田彰布がまだ2軍監督のときに若い選手によく言っていた言葉だ。

 「例えばよ、犠牲フライがほしい場面では、ふつうは相手バッテリーはそういう球は放ってくれんよ。低めでゴロを打たせようとするから、だったらその低めを狙えばいいんよ。右方向へ進塁打を求められる場面なら、相手はそうさせへんようにするんやから、答えというか、投げてくる球はおのずとわかるやんか」

 後に4番を張る浜中おさむや、代打の神様と称されるようになった関本賢太郎らは、この岡田の野球観を中心選手になってからも大事にしていた。この日、好機で1本も出なかった選手たちがどういう考えで打席に立っていたかは正直わからないし、何が正解かも未知だが、9回なんて明らかに制球に苦しんでいた栗林良吏にボール球を振って助けてしまっている。取れる時に取っておかないと後に痛い目にあう典型的な一戦。勝てたはずの、あまりにももったいないシーンが多々あったので、ついついブツブツと言ってしまった…。=敬称略=(専門委員)

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2021年7月5日のニュース