代理人・ウルフ氏が明かす、筒香のドジャース移籍の裏側にあった2つの要素

[ 2021年5月17日 02:30 ]

ドジャース移籍が決まった筒香(AP)
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 昨季ワールドシリーズを制したドジャースが15日(日本時間16日)、レイズから筒香嘉智内野手(29)をトレードで獲得したと発表した。代理人を務めるジョエル・ウルフ氏(50)がスポニチ本紙の取材に応じ、移籍の舞台裏を明かした。背景にはレイズの金銭的思惑、ド軍のチーム事情の大きな2つの要素があった。(奥田秀樹通信員)

 筒香が事実上の戦力外になる数日前。今回の動きを察知したウルフ代理人はレイズの地元タンパに飛び、筒香と話し合いを持っていた。

 11日に戦力外となり、ウエーバー手続きに入った。だが、この期間に獲得する球団は、今季年俸700万ドル(約7億6300万円)のうち、残り期間分の549万ドル(約5億9800万円)の負担が必要だった。ウルフ代理人は「ウエーバーをクリアしたあと、数球団がレイズに連絡してきてトレードの話し合いになった」と説明。レイズも前向きだったのは、コロナ下で経営的打撃もある懐事情からだった。筒香の契約には本人の同意なしにマイナーに送れないという条項が存在した。「ヨシ(筒香)がマイナー行きを選ばないのは分かっていた。となれば(自由契約の場合は)無償で他球団に取られることになる」と同氏。年俸だけを負担しての自由契約よりも、移籍金が発生するトレードを選択した。今回はド軍がメジャー最低年俸43万ドル(約4700万円)分を負担。レイズには後日、金銭が渡ることが有力だ。

 ド軍は故障者続出の野手補強が急務だった。一塁手兼外野の主砲ベリンジャー、外野手ポラックら、主力の負傷者リスト入りが続出。この日は遊撃手のシーガーが、右手を骨折した。筒香の19年オフのメジャー移籍の際にも、獲得に強い興味を示した球団の一つ。同氏は「ド軍は今季もヨシの動向を注視していた。デーブ・ロバーツ監督も喜んでいた」と話した。

 本拠地ロサンゼルスは筒香がDeNA時代から自主トレを行った、なじみ深い場所だ。同氏は「ヨシ自身も今回の移籍をとても喜んでいる。かつてド軍でプレーするのが“長年の夢の一つ”と打ち明けていた」と新天地での新たな出発に期待した。

 ▽ロサンゼルス・ドジャース 1890年にニューヨークのブルックリンを本拠地としてナ・リーグに参入。55年にワールドシリーズ(WS)を初制覇し、58年にロサンゼルスに移転。2020年には32年ぶりにWSを制した。過去、日本選手は野茂英雄、石井一久、前田健太ら投手7人が所属したが、野手は中村紀洋のみ。本拠地は62年からドジャースタジアム。

 ◆ジョエル・ウルフ 1970年6月18日生まれ、米カリフォルニア州出身の50歳。米大手エージェント会社「ワッサーマン・メディア・グループ」の野球部門代表。スター選手を担当し、現役時代の松井秀喜氏(現ヤンキースGM特別アドバイザー)もスタッフの一員としてサポート。現役時代は一塁手兼外野手としてマイナーで6年間プレーした。

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