ロッテ・朗希 怪物片りん107球5回4失点デビュー クイックに課題も直球の9割が150キロ超え

[ 2021年5月17日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ6―6西武 ( 2021年5月16日    ZOZOマリン )

<ロ・西>5回4失点デビューの佐々木朗(撮影・長久保 豊)
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 最速163キロを誇る「令和の怪物」が、ついにデビューした。ロッテの高卒2年目・佐々木朗希投手(19)が16日の西武戦に先発。5回6安打4失点(自責2)で勝ち投手の権利を持って交代したが、救援陣が同点とされてプロ初勝利を逃した。直球は最速で154キロを計測し、平均でも151キロとポテンシャルの高さを証明。走者を背負ってからの投球に課題を残したものの、怪物の片りんを見せた。

 デビュー戦を終えた佐々木朗の第一声は「疲れた」だった。予定の100球以内を超える107球。2軍でも一度も経験していなかった未知の球数を投げ切った。プロ初勝利を逃したが、落胆することはなかった。

 「直球を内角に決められて、ある程度、ゾーンのいいところへ投げられた」。直球は全投球の66%となる71球を占めた。最速は154キロ。9割となる64球が150キロを超え、平均でも151キロだ。主砲の山川からは140キロ前後のフォークで2三振を奪った。4―0の3回にレアードの失策から3失点。5回には暴投で追いつかれたが同点で食い止め、本拠地で見守った1万2918人の観衆から大きな拍手を浴びた。

 「(声援は)凄く力になったし、1軍で投げられてよかった」。11年の東日本大震災で父・功太さん(当時37歳)を亡くした。観戦し女手一つで育ててくれた母・陽子さん(47)からは「頑張れ」。このひと言で十分だった。

 大船渡3年時に最速163キロを計測。だが体が成長段階で故障防止のため、夏の岩手大会決勝で登板を回避した。プロでも苦難が続く。実戦デビューが決まっていた昨年6月に右肘の炎症が発覚し、10月も右肘に張りが出てデビューが流れた。

 ただ、全てを糧としてきた。2月の石垣島キャンプではテークバックが大きなフォームだったが、今では右腕が体に巻き付くようになり、制球力が向上した。高校時代から練習メニューを自ら考えるなど、創意工夫して成長してきた。投球フォームも変化を恐れずに研究する。磨けば磨くほど、輝きを増すダイヤの原石なのだ。

 左足を振り上げるダイナミックなフォーム。ただ、走者を背負ったときのクイックモーションは速くなく、5盗塁を決められた。「良かったところも悪かったところも、それは1軍じゃないと分からないことだった」。1軍の厳しさを味わったことで課題も見えた。

 17日にも出場選手登録から抹消されるが、井口監督は「またチャンスを与えたい」と期待を寄せた。佐々木朗も次回登板を見据えた。「もっと相手を圧倒できるように、(投球の)精度を上げていきたい」。分かっていても打たれない直球をさらに磨き、プロ初勝利をつかむ。(横市 勇)

 ≪直球の平均球速151キロ≫ロッテ・佐々木朗の直球の平均球速は151キロ。今季の先発投手では同じくこの日が初先発だった阪神・アルカンタラと並び6位タイの数値だった。トップはソフトバンク・千賀の156キロ。また、救援投手も阪神・スアレス、巨人・ビエイラの156キロが最速。以降は西武・平良、ギャレット、中日のR・マルティネス、広島・コルニエルの154キロ、ソフトバンク・杉山が153キロ、同・モイネロ、楽天・ブセニッツらが152キロで続く。

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