シャイなドミニカン 阪神・アルカンタラは来日初勝利記念球を米国で暮らす妻にプレゼント予定

[ 2021年5月17日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神6-5巨人 ( 2021年5月16日    東京D )

<巨・神>来日初勝利を挙げ、ウイニングボールを手に笑顔の阪神・アルカンタラ(撮影・大森 寛明)
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 新たなステージに入った「伝統の一戦」で、また一人、頼もしい虎の助っ人がデビューした。先発したアルカンタラが自慢の制球力を武器に無四球で6回7安打5失点で初登板初勝利。球団の外国人投手が巨人戦でデビューし勝利するのは02年ムーア以来、19年ぶり3人目だった。

 「オハヨウゴザイマス!今日初めて上(1軍)で勝つことができたので、とてもうれしい気持ちと、またこれから頑張りたいなという気持ちです」

 シャイなドミニカンが、敵地でのヒーローインタビューで照れながら日本語も披露。午後5時の“おはよう”もご愛きょうだ。

 ただ、マウンド上では異国での初登板とは思えぬ落ち着きぶりで、2001試合目の巨人戦の主役の一人となった。初回、先頭の梶谷を初球の150キロ直球で左飛。その後もストライク先行の投球でリズム良く試合をつくった。6―2の6回に4連打と重盗、梅野の失策も絡んで3失点。1点差に詰め寄られたが、なお2死満塁で松原を二ゴロに仕留めてリードを守り抜いた。

 昨季、韓国プロ野球で20勝(2敗)をあげ最多勝。一昨年の11勝11敗からの飛躍の要因の一つがこの日も多投したスプリットだ。「昨年効果的に使えた。初球ストライクを取る球にも三振を取る球にもなる」と、使い分け方を習得したことで投球の幅が広がった。さらに同じような球速、軌道のチェンジアップもある。それらを低めに集めて打者を翻弄(ほんろう)し、自己採点は「95点あげたい」と笑顔、笑顔だった。

 記念球は米国で3人の息子と暮らす妻にプレゼント予定。「家族が一番支えてくれる存在なので」。矢野監督は「力というよりは投球の幅とコントロールで抑えていく感じかな。タイプ的には西勇に似ている感じにも見えた」と、エースの名前を出して高評価した。首位チームに加わった新たな戦力。他球団をさらに苦悩させる存在となりそうだ。(山添 晴治)

 【巨人戦が初登板初勝利だった阪神の外国人投手】
 ▽64年3月24日・バーンサイド 初回からゴロの山を築く危なげない投球。3番・王は4打数無安打に封じ、失点は4番・長嶋に浴びたソロのみ。3回に藤本の満塁弾でもらった4点を守り125球で完投した。
 ▽02年3月31日・ムーア 4回に清原のソロで先制を許すが、その後は粘りの投球。1―1の7回に代打を送られた直後に赤星の適時打で勝ち越して勝利投手の権利を手にすると7回以降は5投手の継投で逃げ切った。

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