【TG戦2000試合企画(3)】長嶋茂雄氏も興奮した伝統の一戦は永久不滅 両OB会長も切磋琢磨願う

[ 2021年5月17日 08:30 ]

「春団治」川藤氏VS「絶好調男」中畑氏―OB会長リモート対談

巨人・中畑清OB会長(右)とリモート対談を行った阪神・川藤幸三OB会長
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 伝統の一戦の新しい歴史が始まった。2001試合目。阪神が4番・佐藤輝を前面に押し出して勝ち越せば、巨人も岡本和が存在感を発揮した。歴史を背負いながら、戦いは続く。阪神OB会長・川藤幸三氏(71)と巨人OB会長・中畑清氏(67、スポニチ本紙評論家)は、これからもプロ野球界をリードする激闘ドラマが、両者の一戦で生まれることを強く願った。(構成・永瀬郷太郎、鈴木 光)

 中畑 3試合ともいい試合でした。お互いが切磋琢磨(せっさたくま)しながらの激突。阪神の勢いが表れた形ですね。

 川藤 全部接戦やった。どっちの流れになってもおかしくなかった。こういう試合を続けてこそ伝統の一戦。先輩たちの思いをつないでくれてると感じたな。

 中畑 今年はいい試合が続いているから先輩も楽しいんじゃないですか。

 川藤 と、思うやろ。でも強い阪神というのはなかなか経験がないからな。弱いときが多かったから、ホンマに喜んでいいのか、というのが正直ある。まだまだ何が起こるか分からんぞ。

 中畑 夢心地かと思ってましたよ。ずいぶんマイナス思考ですね。

 川藤 自分のことは前向きやけど、チームのことは心配になるんや。

 中畑 でも阪神は若手が出て、雰囲気が変わった。マルテが打ったときとか、監督も一緒にポーズを決めて喜んでいる。ああいうノリはボクは大好きです。佐藤輝も大物の空気を持っている。敵ながら、打席が見たい、早く打順が回ってこないかと思わせる選手は久しぶり。三振しても相手にしっかりプレッシャーをかけていたと思います。

 川藤 ここからは巨人の意地やろ。原監督も阪神戦への意識はものすごく持っている。今年も最後まで巨人との争いが続くはずや。

 中畑 そうあってほしいです。互いに緊張感を持って、いい試合を見せてほしい。

 川藤 ともに最後の最後まで気を抜くことなく戦ってほしいもんや。こんな話を知ってるか。今日も観戦された長嶋茂雄さんは藤村富美男さんに憧れて野球を始めた。だから甲子園の阪神戦だけは前の晩から気持ちが高ぶっていた。じかに聞いたで。

 中畑 それはうれしかったでしょ。

 川藤 そりゃ、そうよ。長嶋さんが監督時代の宮崎キャンプで3時間、鍋をつついて野球の話をしたのも忘れられん。阪神の情報が欲しいんかな、と思った自分が情けないと感じた席やった。

 中畑 グラウンドで戦ったからこそ通じ合うものがある。今の選手ももっと意識してほしいし、伝統の一戦が永久不滅であってほしいと思います。

 川藤 同感や。この戦いだけは負けられん、という思いをレギュラーも控えも強く持っていってほしい。(この日の)陽川のように誰でもヒーローになれるチャンスはあるんや。

 中畑 3000試合へと続く次回の対戦がまた楽しみです。早く満員のスタンドが戻ってほしいですね。

 川藤 そのときはメシに行くぞ。(終わり)

 ◆川藤 幸三(かわとう・こうぞう)1949年(昭24)7月5日生まれ、福井県出身の71歳。若狭から67年ドラフト9位で阪神入団。主に代打の切り札として活躍し、86年に現役引退。通算成績は771試合で打率.236、16本塁打、108打点。90、91年に阪神総合コーチなど。右投げ右打ち。愛称は「浪速の春団治」。

 ◆中畑 清(なかはた・きよし)1954年(昭29)1月6日生まれ、福島県出身の67歳。安積商(現帝京安積)から駒大を経て、75年ドラフト3位で巨人入団。89年に現役引退。通算成績は1248試合で打率.290、171本塁打、621打点。93、94年に巨人打撃コーチ、04年アテネ五輪では日本代表ヘッド兼打撃コーチ。12~15年にDeNA監督。右投げ右打ち。愛称は「絶好調男」。

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