ロッテ・朗希 「バレーのスパイク」のような高いリリースポイント 170キロ出ても「不思議じゃない」

[ 2021年5月17日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ6―6西武 ( 2021年5月16日    ZOZOマリン )

<ロ・西>初回、マウンドに上がった佐々木朗
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 動作解析の第一人者である筑波大の准教授で、野球部監督の川村卓氏(51)が、「令和の怪物」の凄さを解説した。川村氏はロッテ・佐々木朗の母校・大船渡の国保陽平監督(34)の恩師。最速163キロを誇る右腕を高校時代から見守り、高いリリースポイントとプロでもトップレベルに入る球の回転数に着目していた。将来的に170キロを計測する可能性にも言及した。

 川村監督が佐々木朗の投球を初めて見たのは、高3年夏の岩手大会後。U18W杯に参加する前だった。筑波大を相手にシート打撃で投げ、衝撃を受けた。

 「遠投しているような(高い)リリースポイントで投げていた。(投球動作を)分析している人間からすると、このまま投げたら上に抜ける、打者の頭を越すというところから凄い角度のボールが投げられる。それをどこでやっているかというと、背中の筋肉だった」。佐々木朗は1メートル90の長身。手も長く、約25センチのマウンドも加えた高い位置から投げ下ろす。「(腕を振った勢いを)背中の筋肉で止めて、手が返る。バレーボールのスパイクを打つようなイメージ」と表現した。

 球速は155、156キロ出ていたという。球速以上に驚かされたのが回転数(1分間換算)だ。「2500~2600が出ていた。高校生のいい投手でも2100~2200が関の山。プロに入ると2300までいくのが普通。本当にいい投手で2400か2500に届く。なのに(佐々木朗は)2500が普通。しかも力を入れていなかった」。打者からすれば、角度がついたボールが浮き上がってくるという。

 課題も改善されつつある。高校時代は手が体から離れがちで、肩や肘に負担がかかっていたが「腕がコンパクトに回ってきて、頭と手が近いところで振れるようになってきた」という。下半身の弱さもプロで1年以上鍛えたことで「しっかり下半身を使えるようになり、体重が乗るようになった。これは末恐ろしいと思いながら見ていた」と語った。

 日本最速は16年に当時日本ハムの大谷(エンゼルス)が出した165キロ。最速163キロの佐々木朗はどこまで伸ばすのか。「球速だけで言うと、(大谷の165キロを)超えていくのは間違いない。下半身から上半身に力がもっと伝えられるようになれば、170キロは不思議じゃない」と力説した。(取材・柳内 遼平)

 ◆川村 卓(かわむら・たかし)1970年(昭45)5月13日生まれ、北海道出身の51歳。札幌開成では主将で3年夏に甲子園出場。筑波大でも主将を務めた。卒業後は浜頓別高で監督を務め、00年から母校・筑波大野球部の監督に就任。大学では体育会系の准教授でコーチング学や野球方法論を専門分野とする。動作解析の第一人者。

 ▽回転数 直球の質や伸びには回転数の関連がある。メジャートップクラスの「スピンレート(1分間に換算した回転数)」は平均2300~2500回転。全体の回転数に対し、ボールの変化に貢献する横回転、順回転、バックスピンなどの回転率が高ければ高くなるほど回転効率が高くなる。回転効率の数字が高いほど、直球が浮き上がるような軌道を描く。今季ここまで直球の平均回転数のメジャートップはドジャースのバウアーで2839。パドレスのダルビッシュは2542で、エンゼルス・大谷は2385となっている。

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