ソフトB・岩崎 “魔の2日間”からの復活…3年ぶりリーグ制覇の戦力に

[ 2020年10月13日 09:00 ]

ソフトバンク・岩崎
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 見事に、やり返した。ベンチへと戻る際の眼光は、えげつなく鋭く、狼のようだった。10月7日、メットライフドームでの西武戦。ソフトバンク岩崎翔投手(30)が、3―3の7回2死一、二塁で5番手登板し、4番メヒアを3ボールと苦しい状況から持ち直して、フルカウントから最後は、138キロフォークで空振り三振に切って役目を終えた。

 「打者1人だけでしたが、あの場面で抑えられたのは良かった。残り試合は少ないですがまた、やるだけです!」と球団広報を通じて届いたコメントには気持ちが乗っていた。

 7月8日の楽天戦登板を最後に2軍に落ちた。救援投手として再調整を強いられた。決定的だったのが6月26、27日のメットライフでの西武戦。本人にとっては思い出したくもない、ただ、絶対に忘れてもいけない。忘れたくもない“魔の2日間”となっただろう。

 同26日は4―3の8回2死満塁で8番・木村に逆転満弾被弾。そして翌27日には7―5の7回一、三塁で4番・山川に逆転3ランを浴び、チームの2連敗に直結。「申し訳ない」と繰り返していた。

 ただ“何くそ根性”を大事にする工藤監督は、放ってはおかなかった。岩崎に再びチャンスと舞台を与えた。「これをバネにして欲しい。チームに必要な選手。取り返すときが必ず来ると思う」。連続被弾を浴びた同27日に発した言葉通りに、10月2日に再び選手登録させると、7日にメットライフドームで復帰登板をさせる、マウンド度胸、男を試す、絶妙な計らいをした。

 見事にカムバックした後の岩崎は9、11日のロッテとの首位攻防戦にも登板し計2回、打者7人に1安打零封中だ。「良くなっていますよー。彼が7回を投げてくれたら変わってくると思う」。指揮官はモイネロ、森へとつなげる“7回の男”として、岩崎に再び期待をかけている。13日で今季も残り22試合。夜空に光る、獣のような眼光の岩崎ならやり返すし、見返す。3年ぶりリーグ制覇の戦力に、なりうるとみる。(記者コラム・井上 満夫)

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2020年10月13日のニュース