トヨタ自動車・嘉陽 進化見せる3年目右腕、初の大舞台でも「結果残す」

[ 2020年10月13日 08:00 ]

トヨタ自動車の嘉陽宗一郎投手
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 社会人野球のトヨタ自動車が11月22日から東京ドームで開幕する都市対抗野球大会出場を決めた。激戦の東海地区予選を4連勝で勝ち切っての第1代表。本戦出場に大きく貢献した3選手を掲載。第2回は嘉陽宗一郎投手(24)。

 1メートル87の長身から、イメージ通りのストレートを投げ込んだ。「これでいける」。トヨタ自動車・嘉陽は登板直後の2球に、十分すぎる手応えを感じ取った。9月16日に行われた都市対抗野球東海地区2次予選・東邦ガス戦。出番を告げられたのは、9―2の8回1死満塁の場面だった。

 「点差もありましたし、とにかく思い切り腕を振ろう、と」

 言葉通り、3番・上内には1、2球ともストレートを続けた。いずれも振り遅れてのファウル。自信が確信に変わる。簡単に追い込むと、最後は外角低めストレートで見逃し三振を奪った。続く4番・若林も、外角ストレートで見逃し三振。9回も3者凡退で締め、1回2/3を無安打4奪三振という快投を披露した。

 「僅差だったので、めちゃめちゃ緊張していました」

 クライマックスは同月22日にあった、ジェイプロジェクト戦だった。4―2の8回から登板。いきなり無死満塁を招いたが、後続をニゴロ併殺と空振り三振に仕留め、最少失点でしのいだ。「さらに自信がつきました」。最終回は2三振を奪って3者凡退。チームの第1代表決定戦進出を後押しした。

 地道な取り組みが実を結んだ。岩崎司投手コーチと話し合いを重ね、今季のテーマに掲げたのが「球速アップ」。従来の瞬発系、遠投というメニューに加え、6月からはウエートトレーニングにも力を入れた。「上から叩き下ろす」イメージだった腕の振りも、スリークオーターに変更。NPB経験者で捕手最年長の細山田武史からは「困ったらアウトローだ」と、口酸っぱく声をかけてもらった。様々な要素が奏功し、昨年は144キロだった最速が、2次予選では148キロをマーク。亜大1年時に計測した147キロを、6年ぶりに塗り替えた。

 「本戦も予選のような使われ方になると思います。緊迫した試合ばかりでしょうが、予選みたいに1球1球を大切に丁寧に投げていきたい。都市対抗ではまだ投げていない。優勝に貢献できるよう、しっかり結果を残したい」

 フル回転が期待されていた昨年は、2大大会で登板することなく終わった。巻き返しを期す入社3年目。イメージ通り、いや、それをも上回るスピードで進化を遂げた嘉陽が、救援陣の中核を担う。 

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