槙原寛己氏 らしさなく高めに浮いた菅野だが偉業の輝きは衰えず 今後は日本S見据えた対策、調整も

[ 2020年10月13日 21:41 ]

セ・リーグ   巨人3-4広島 ( 2020年10月13日    東京D )

<巨・広>4回、汗を飛ばし必死の形相で力投する菅野(撮影・木村 揚輔)
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 【槙原寛己 視点】菅野は全体的にらしさがなかった。この球が悪かった、というのではなく、全体的に抜けていて球が高かった。球速も今一つ。疲労など、いろんな蓄積もあったと思う。ベストコンディションではなかったのだろう。低めに集めたいところで、球の抑えが効かないので、自分でカウントがつくれない。そこを見逃さない広島打線の対応も素晴らしく、よく研究して目付けを上げて、高めを逃さず痛打していった。

 イニングの合間の表情を見ていると、苦笑いが出ていた。本人も“そろそろやられるかな”と思っていたのではないか。僕らも連勝している時はそう思う。だいたい4連勝もすると、多少は気が緩むものだ。今日はいかれるかな、など。そう考えれば「13連勝」というのは本当に凄いこと。勝ち続けている間のモチベーションの維持。それをこのコロナ禍で大変なシーズンで成し遂げたことは凄く価値と意義がある。コロナで、逆に野球に集中できた環境があったのかもしれない。それをストイックに生かせるところに、改めて投球に懸ける菅野の執念を感じた。僕が現役時代、同じものを感じた投手が斎藤雅樹だった。

 リーグ優勝と菅野の最多勝は当確だろう。ならばこの連勝ストップを転機に、日本シリーズへも真剣に目を向けるべきだ。現在、巨人が置かれた状況は90年のシーズンにとても似ている。あの時はシリーズまで間が空きすぎて難しい面が出た。今季もパ・リーグは直前までCSが組まれ、厳しい勝負を乗り越えてやってくる。菅野は大黒柱となるエースなのだから、今後は日本シリーズから逆算して日程を組んでいってもいいだろう。

 90年当時チームにいた宮本投手コーチも、難しさは分かっているはず。13連勝には胸を張るべきだし、止まって何ら恥じることはない。首脳陣も含めて、肉体的なことも見直し、11月の下旬という異例の日本シリーズへの調整方法を考えていくべきだと思う。(本紙評論家)

 ▽90年の巨人 セ・リーグを開幕から独走し、9月8日にリーグ優勝を決めた。日本シリーズ開幕の42日前。最終的に2位広島に22ゲーム差をつけ88勝42敗、勝率・677の圧勝だった。ただ消化試合が長く続き、日本シリーズまで時間が大きく空いたことが悪影響を及ぼした。第1戦は槙原が先発し、初回にデストラーデに3ランを浴びチームは零敗。そのまま4連敗で敗退し、日本一はならなかった。

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2020年10月13日のニュース