阪神・高山 伝統の一戦史上初!代打サヨナラ満弾「完璧でした」

[ 2019年5月30日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神―巨人 ( 2019年5月29日    甲子園 )

<神・巨>延長12回、代打サヨナラ満塁弾を放った高山を手荒く迎える阪神ナイン(撮影・大森 寛明)
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 阪神・高山俊外野手(26)が29日の巨人戦でプロ初となるサヨナラ本塁打を放った。同点の延長12回1死満塁から代打サヨナラ満塁弾。長きにわたる伝統の一戦でも史上初となる劇弾で4時間30分の激闘に終止符を打った。昨季から続く甲子園での巨人戦連敗も9で止め、2位に浮上。貯金も今季最多5とした。

 飛距離は十分と確信した高山はゆっくり走りながら打球の行方を見守った。右翼ポールを越えていった打球に塁審の手が回る。その瞬間、バットをポンッと放り投げ右腕を突き上げた。令和初となる甲子園での伝統の一戦を、これ以上ない最高の形で締めくくった。

 「自分が打ったのかよく分からない、不思議な気分でした。(打球が)切れないか心配でしたけど、手応えは完璧でしたね」

 4―4で迎えた延長12回1死満塁。ベンチに残る最後の野手として代打で登場すると、左腕・池田の2ボールからの高めスライダーを仕留めた。ホームベース付近で待つナインを見つけると速度を上げて駆け込んだ。手荒い祝福でびしょぬれになった後、飛び出してきていた矢野監督と熱い抱擁。「水の勢いが強すぎて耳に水が入って抜けていない。でも、本当にうれしい」。いつもは冷静な男が、無邪気な笑顔で喜びを爆発させた。

 志願の『親子ゲーム』だった。ほんの7時間前まで鳴尾浜球場で2軍戦に出場していた。「結果が出ずチャンスも減ってきている中で、打席に立ちたいと伝えて、立たせていただいた」。現状をぶち破るため、とことん能動的な4年目。「2年間悔しい思いをして、今年にかける思いは強い」。この一心で行動し続けている。

 プロでの過去を「来た球をただ打っていただけ。いま思えば、そうだった」と振り返るが、今年は違う。オフには自らに合った打撃フォームを求めて一流打者を徹底研究。イチロー氏から西武・秋山、日本ハム・西川、近藤まで。結果、春季キャンプからオープン戦にかけて「マネしているわけじゃないけど西川さんの形が一番良い」と取り入れた。高山の言う「良い」とはボールの軌道にバットを水平に出すことだ。

 試行錯誤を続けているから現在の打撃フォームは微妙に異なる。ただこれまで『感性』に頼る部分が多かった打撃に『論理』が加わった。これは勝負の4年目を戦うにあたり大きな武器になる。

 今季29打席目での1号はルーキーイヤーの16年以来、3年ぶりの巨人戦本塁打となり初打点も記録してのG倒。「今日の一日を、スタートにという言い方は悪いですけど、きっかけにしていければと思います」。さらなる快進撃を予感させる放物線だった。(巻木 周平)

 ≪球団23年ぶり≫高山(神)が代打満塁サヨナラ本塁打。17年鵜久森(ヤ)以来となるプロ野球17本目で、阪神では96年のグレン以来23年ぶり4本目。阪神―巨人戦では史上初めてだ。高山のサヨナラ打は16年5月21日、広島戦での単打以来2本目。満塁弾は16年8月25日のDeNA戦で打って以来2本目。巨人戦本塁打も16年9月19日以来2本目と、いずれもルーキーイヤー以来3年ぶりの記録。

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