日本ハム・田中賢 代打逆転弾!引退までに「打ちたかった」ラストイヤーに涙の2年ぶりアーチ

[ 2019年5月30日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム6-4ロッテ ( 2019年5月29日    札幌D )

お立ち台でポリーから祝福される田中賢(撮影・高橋茂夫)
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 ベテランが魅せた!日本ハムは29日、ロッテに競り勝って3連勝を飾り、勝率5割に復帰。1点を追う8回2死一塁で、今季限りで現役を引退する田中賢介内野手(38)が代打逆転1号2ランを運んだ。自身2年ぶりの一発で代打本塁打はレギュラー定着前の05年以来14年ぶり。最後の最後までチームのために身を削る。 

 札幌ドームのファンが総立ちで見守る。お立ち台に上がり、スタンドを見渡した田中賢の目は潤んでいた。涙腺は崩壊寸前だったが、何とか我慢。38歳は、胸の内にある素直な心境を吐露した。

 「(現役引退までに)1本ぐらい打ちたいと思っていたし、お立ち台も上がりたかった。ホームランバッターではないけど、やっぱりホームランは打ちたい。気持ちよかった」

 20年目のベテランが快音を響かせたのは1点を追う8回。2死一塁で代打で登場した。酒居との対戦で、1ボールから「直球を狙った」という迷いのないスイングで143キロをジャストミート。三塁ベンチのナイン、スタンドのファンも総立ちで行方を見守った打球は右翼席に着弾した。2年ぶりのアーチは値千金の逆転2ラン。栗山監督は「賢介が積み上げてきたものが、難しい試合で何をもたらすか。ベンチのみんなが感じてくれたと思う。素晴らしかった」とうなった。

 昨年12月に今季限りでの現役引退を表明。グラウンドでは「気持ちは変わらない」とクールに振る舞うが、38歳の誕生日だった今月20日には「あと101試合か…」と寂しそうな表情も浮かべていた。夜は札幌市内で家族と外食。昨年までは「家でスーツを着ると“遠征でパパがいなくなる”と分かって泣いてしまう」と語っていた4歳の長男からは「パパ、がんばってね」と書かれた手紙ももらった。「まだ引退をよく分かってないみたいだけど、もう遠征に出る時も泣かなくなった。宝物をもらいました」と感慨深げに笑う。

 お立ち台で田中賢は誓った。「このユニホームを一日でも長く着て、どこのチームよりも長く野球ができるようにしたい。(活躍を続けることで)惜しまれながら引退できるように頑張ります」。愛する家族、チームメート、ファンとともに日本一まで駆け上がる。(山田 忠範)

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2019年5月30日のニュース