プロ野球開幕で注目される侍戦士たち

[ 2017年3月30日 10:30 ]

DeNAの筒香
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 【宮入徹の記録の風景】第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は米国の初優勝で幕を閉じた。侍ジャパンは準決勝でその米国と対戦。1―2と惜敗したものの、菅野(巨人)、千賀(ソフトバンク)の好投もあり野球発祥国に対し、一歩も譲らない熱戦を繰り広げた。終わってみれば今大会の敗戦はこの1試合だけ。1次ラウンドから通算6勝1敗(勝率・857)は、09年第2回大会の7勝2敗(勝率・778)を上回るチームにとっての最高勝率になった。

 あす31日からはいよいよプロ野球公式戦が開幕する。過去3回のWBC出場選手は、開催年のレギュラーシーズンでどんな成績を残したのか。それぞれの開催年を振り返ってみる。

 06年(第1回)は野手で唯一メジャーのイチロー(マリナーズ)を除き、野手16人中13人が規定打席に到達。その確率は81・3%と高く、激戦の影響がシーズンに陰を落としたとは見受けられない。実際、打者ではWBCで全試合4番に座った松中(ソフトバンク)が打率・324で首位打者を獲得。準決勝の韓国戦で決勝の代打先制2ランを放った福留(中日)も打率・351で首位打者とWBC組2人がタイトルを手にした。投手では3勝0敗でMVPを獲得した松坂(西武)が25試合に登板。17勝5敗、防御率2・13の好成績を残し、勝利、防御率ともリーグ2位。13完投はリーグ1位と充実のシーズンを送っている。

 09年(第2回)はメジャー組を除き、野手12人中10人が規定打席に達し、確率は83・3%に上がった。もっともこの年は内川(横浜)が打率・318でセ・リーグ2位、小笠原(巨人)が・309で同3位と健闘したがタイトルには届かず。打撃3部門のタイトル獲得者は出なかった。一方で投手陣は充実。パ・リーグではダルビッシュ(日本ハム)が防御率1・73で自身初の最優秀防御率。涌井(ロッテ)は16勝を挙げ最多勝に輝いた。セ・リーグでは山口(巨人)が73試合に救援登板し44ホールドポイント。こちらも初めての最優秀中継ぎ投手となり、巨人のリーグ優勝に貢献した

 13年(第3回)は野手15人中12人が規定打席に到達。確率は・800と3大会中では最も低く、最高打率は両リーグを通じ内川(ソフトバンク)の・316で6位止まり。1、2回に比べ打者はやや精彩を欠いた。投手ではやはり田中(楽天)の神がかった投球を忘れるわけにはいかない。この年、田中は28試合に登板。24勝0敗、防御率1・27の驚異的な数字を残した。シーズン無傷の24連勝、前年から28連勝はともにプロ野球新記録。WBCでは救援に回るなど、4試合で0勝0敗、防御率2・57と調子が上がらなかった。ところがレギュラーシーズンでは一転しての記録ラッシュ。楽天も球団創設9年目で初の日本一に輝くなど自身最良のシーズンとした。

 今大会参加メンバーのうち、山田(ヤクルト)は3年連続トリプルスリーが最大の目標。他には打者で2年連続タイトルを目指す坂本勇(巨人=首位打者)、筒香(DeNA=本塁打王、打点王)。投手では菅野(巨人=最優秀防御率)、石川(ロッテ=最優秀防御率)と思いつくだけでもいろいろ。いずれにしても、実力者ぞろいの侍戦士がペナントレースを大いに盛り上げてくれるに違いない。(専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。本社制定の最優秀バッテリー賞の選考委員会には、1回目の91年から26回連続で資料説明役として出席。

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