球宴の晴れ舞台 選手たちにとっても何よりの学びの場に

[ 2016年7月22日 10:30 ]

<全パ・全セ>9回裏無死一塁、栗山は右越え2ランホームランを放つ(投手・中崎)

 現場での球宴の取材は2年ぶりだった。担当チームである西武からは6人の選手が夢舞台に選出された。ヤフオクドームでの第1戦。栗山が途中出場で9回に2ランを放ち、敢闘賞に輝いた。栗山は15年目の初出場。経験豊富なベテランも試合前から緊張を隠せない様子だった。

 昼に開かれた日本プロ野球選手会の臨時大会に出席し、球場入りしようとした時だ。栗山は炭谷とともにメガネ姿で球場へ続く通路を歩いていた。「そうや!俺、コンタクトを(ホテルの)部屋に忘れてきた!取りに戻るから銀(炭谷)も一緒に来て!初めてなんやから一人にせんといて」。球場入りすると、記念撮影→ウオーミングアップ→打撃練習というスケジュールで選手たちは慌ただしく動き回る。ロッカー室から打撃練習に向かう栗山は「あっ、ヘルメット忘れた…。ずっとフワフワしてるわ」と苦笑いしていた。

 球宴は選ばれし者だけが立つことの許される晴れ舞台で、一流の選手ばかりが顔をそろえる。だからこそ、そこでしか得られないものがある。全パのコーチを務めたロッテ・伊東監督は「俺も現役時代にオールスターでいろいろなことを学んだよ。出場する度に成長させてもらった」と当時を振り返った。そのロッテから初出場した高卒4年目の捕手・田村は、球宴初打席で適時打を放った。第2戦ではスタメンマスクをかぶった。「自分がここにいてもいいのかと思うぐらい、すごい選手ばかり。緊張したけど、いい経験になった。楽しかったし、学べることがたくさんありました」と目を輝かせていた。

 今年9月で33歳になる栗山と、22歳の田村の年の差は11歳だが、2人の胸中には共通するものがあったはずだ。「すごく勉強になりましたね。(ソフトバンク)長谷川や(ロッテ)角中にも打撃について話を聞かせてもらった。いい経験をさせてもらいました」と栗山。「経験が人を成長させる。それは何歳であっても同じだから」。福岡から帰京する機中、私が駆け出しの記者だった頃にある人から言われた言葉を思い出した。(記者コラム・重光 晋太郎) 

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2016年7月22日のニュース