真中監督ヤっと初勝利 トライアウト男・鵜久森1268日ぶり弾 

[ 2016年3月31日 05:30 ]

<ヤ・神>4回1死、勝ち越しホームランを放った鵜久森

セ・リーグ ヤクルト8―4阪神

(3月30日 神宮)
 大歓声に包まれ、ダイヤモンドを一周する。ヤクルトの鵜久森が久しぶりの感触をかみしめた。

 「長かったです。いろいろなことがありました。でもこうやってきょうも打席に立てる喜びを感じてやっていました」

 1―1の4回1死。変化球を振り抜くと、打球は左翼席へ突き刺さった。移籍後初の一発は、12年10月9日ロッテ戦(QVCマリン)以来、実に1268日ぶりのアーチだった。「無我夢中で一振りに懸けている、それだけです」と振り返る言葉に、力がこもった。

 昨季限りで日本ハムを戦力外となった。イースタン・リーグでは通算84本塁打ながら1軍では力を出し切れず、「未完の大器」と呼ばれた。トライアウトを経て加入。「拾ってもらった球団に恩返しがしたい」という一心で背水の1年に挑んでいる。昨季までの11年間で放った6本の本塁打は全て左投手から放ったもの。この日は左腕対策として初のスタメンに抜てきされた。「来い来い、と思って待っていました」と巡ってきたチャンスをつかまないわけにはいかなかった。

 背番号は支配下選手では一番大きい「91」。入団の際に球団関係者から「野村克也元監督が足して10になる番号は縁起がいいと言ってた」と聞いたという。「僕も活躍して91を自分の番号にしたい。変えたくない」と愛着を持っている。

 真中監督も「流れを変える貴重な一発。本当にいい仕事をしました」と手放しで喜んだが、一度は地獄を見た鵜久森は「毎日必死です。きょうは終わったので、またあしたです」と浮かれることはない。新戦力が輝き、開幕から5戦目、12球団最後にようやく今季初勝利をつかんだ。打線は先発野手全員の14安打で8得点。リーグ連覇へ、ツバメ軍団にようやく春が訪れた。(町田 利衣)

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