【甲子園百景・春】熊本勢のレベルアップに一石投じた秀岳館・鍛治舎監督

[ 2016年3月31日 09:00 ]

<秀岳館・高松商>決勝進出を逃しグラウンドを去る秀岳館・鍛治舎監督(右)と有村

第88回選抜高校野球大会第10日・準決勝 秀岳館2―4高松商

(3月30日 甲子園)
 敗戦監督のお立ち台に上がっても、穏やかな表情のまま。解説者時代と同様に理路整然と試合を振り返る。秀岳館・鍛治舎巧監督は「選手はいい経験ができた」と、ベスト4の選手を称えた。

 3年で日本一を目標に監督に就任。大阪・枚方(ひらかた)ボーイズの監督を務めていた関係から、大量に教え子が入学。ベンチ入り18人すべてが県外選手という異例のチームでもあった。この日のスタメンも6人が枚方ボーイズ出身の選手。もちろん熊本では批判の声もある。しかし鍛治舎監督は百も承知。部員には県出身者もいるが、勝つための選択としての18人だった。

 「熊本の中学生はね、甲子園に出たいと思う選手は熊本に残る。でも甲子園で勝ちたいという(優秀な)子は県外に出ていってしまうんです」

 これまで熊本工、済々黌、九州学院などが熊本の野球をけん引してきた。しかし近年は低迷。甲子園に出ても顕著な成績は収められずにいた。この現状に鍛治舎監督は“悪者”になってでも一石を投じる役目を果たした。

 これで夏は目の敵にされますね?と水を向けると「熊本勢としては2007年以来のベスト4。どこの高校が出るにしても、夏への足がかりはできたと思う。夏の県大会も、最後の3試合(準々決勝から)は全国レベルの試合ができるようになればいい」と県のレベルアップを願った。秀岳館の活躍で熊本に“地殻変動”が起こる気がする。(落合 紳哉特別編集委員)

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2016年3月31日のニュース