「ありがとう」10度繰り返し…キヨシ監督 ファンとともに闘った4年間

[ 2015年10月4日 05:30 ]

<D・巨>スタンドの声援に応える中畑監督
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セ・リーグ DeNA5-7巨人

(10月3日 横浜)
 DeNAは3日、中畑清監督(61)が今季限りで退任すると発表した。3年ぶりの最下位が決まった今季最終戦・巨人戦の後に同監督は記者会見し、成績不振の責任を取って辞任すると表明した。DeNA初代監督として12年に就任。選手育成とともに、今季は実数発表となった05年以降では初めて主催試合の観客動員数が180万人を超えるなど、ファンサービス面で貢献した。愛したファンへのあいさつでは「ありがとうございました!」と10度、叫んだ。

 涙はなかった。闘志を燃やし続けた巨人相手の今季最終戦に敗れた後のセレモニー。最後のユニホーム姿であいさつした中畑監督の表情は、すがすがしかった。

 「どんな試合展開になっても選手たちは諦めない野球をしてくれた。その結果…惨敗です。その(最下位の)責任は全て私にある」。そして、ファンに「ありがとうございました!」と10度繰り返して4年間の応援への感謝を伝えた。最後はグラウンドを一周し、笑顔で手を振り続けた。

 今季の本拠地・横浜スタジアムで満員御礼は球団史上最多の43度。常に情報を発信し続けた指揮官の功績は計り知れない。就任から計575試合。負けが込もうが、一度も試合後の取材を拒否しなかった。監督生活に幕を引く辞任会見で「長嶋さん、王さんの時代からお客さまは神様というのが原点。最下位でありながら結果的にこれだけ応援してもらえるのは、プロ球団のあるべき姿だと思う」と語った。

 一方で、4年連続でCS進出を逃し、責任も痛感していた。「ファンの期待を大きく裏切った。解雇されても当たり前の結果。続投要請になったから騒がれただけ」とよどみなく語った。

 自称エンターテイナーらしい、終始笑顔の幕引き。試合後に行われた最後のミーティング。「もっともっとできる。来年も頑張れ」と選手たちにハッパを掛けた。だが、その姿だけが真実ではない。2点を追う9回、代打・後藤の打席の時は歯をくいしばり、目に涙をためていた。複数の選手は「監督、僕らには見せていないけど泣いていたと思う」と語った。

 成績こそ結実しなかったがファンの心をつかんだ指揮官。「もう一度チャンスがあるならトライしてみたいという気持ちでいっぱい」と監督業への再挑戦に意欲を示しつつ、きっちりオチもつけた。「今後?まったく考えていない。一番の要素は歌手ですね。今は無職で何にも収入源はないので凄い不安です」。報道陣の爆笑を誘って会見を締めた。 (平尾 類)

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