大谷、満弾も1人に2発も初の屈辱…でもハーラー独走11勝

[ 2015年7月25日 05:30 ]

<西・日>11勝目を挙げた大谷(右)は栗山監督からねぎらわれるも、内容に満足せず笑顔なし

パ・リーグ 日本ハム13-6西武

(7月24日 西武D)
 日本ハム・大谷翔平投手(21)が24日の西武戦で、昨季に並ぶ自己記録のシーズン11勝目を挙げた。西武・中村剛也内野手(31)に2本塁打され、6回5失点。同一打者への2被弾は自身初で、通算300本塁打、プロ野球タイの満塁本塁打15本という2つの記録をつくられた。苦しい投球の中でも勝ちを拾い、独走態勢の首位・ソフトバンクを追いたいチームの連敗を4で止めた。

 打球が右翼へ舞い上がった瞬間、大谷は祈った。「頼む、行かないでくれ…」。そんな願いは届かず、打球はスタンドへ吸い込まれた。4点リードの5回1死満塁、4回にも左越えソロを浴びた中村に、この日最速となる159キロの直球をスタンドまで運ばれた。

 3年目の二刀流エースが1軍で同じ打者に1試合2発を打たれるのも初めてならば、満塁アーチを許したのも初めてだった。ただ、気持ちは切れなかった。「まだ同点。粘っていけばチャンスはある」。後続を抑えると、直後の6回にレアードがこの日2本目となるソロで再び勝ち越し。6回5失点と苦しみながらも、昨季に並ぶ自己最多11勝目を手に入れた。

 チームは球宴を挟んで4連敗。しかも首位・ソフトバンクと6ゲーム差。これ以上、負けることは許されなかった。そんな状況の中で、最高の発奮材料があった。この日は母校・花巻東が甲子園切符を懸けて、岩手大会決勝を戦っていた。「いつもは見ないが、きょうは特別」と、登板前もインターネットで試合の動向をチェック。そして後輩たちは延長13回の末に9―8の激闘を制した。

 「素晴らしい試合だった。エースの高橋君は(190球と)球数が多かったのに踏ん張っていた。だから打線も頑張って勝つことができた。彼らは年下だし(プロと高校と)やっているところも違うけれど、野球の本質は同じ。勉強になった」

 今季5度目の連敗ストッパーとなった大谷の裏舞台には、後輩たちの奮闘も隠されていた。「これまで翔平で勝ってきた部分もあるし、きょうはあいつに勝ちがついてよかった」と栗山監督。これで勝ち星、防御率、勝率に加え、7三振を加算して奪三振もリーグトップタイとなって、「投手4冠」に返り咲いた。

 対西武もデビューから無傷6連勝だ。それでも大谷が胸をなで下ろすことはなかった。「これまではたまたま抑えていたが、こういう形でマウンドを降りたことは悔しい。中村さんにもう一度向かっていく」。やられたらやり返す。リベンジを宣言する右腕の目つきは鋭かった。 (横市 勇)

 ≪40試合早く自己タイ≫大谷(日)が6回5失点で昨年と並ぶ自己最多の11勝目。今季はチーム86試合目での到達で昨年の126試合目より40試合も速いペースとなった。もっとも中村(西)には満塁本塁打を含む2被弾。大谷のゲーム2被弾は通算4度目だが、同じ打者に2本打たれたのは初、満塁被弾も初めてになった。また1試合5失点以上は14年9月21日楽天戦の7失点を最多に7度目。過去6度の勝敗は-●-●--の0勝2敗となっており、勝ったのは初めてだ。

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