おかわり「しゃべる元気もない」…王に並んだ15本目満弾空砲に

[ 2015年7月25日 05:30 ]

<西・日>5回1死満塁、大谷から満塁弾を放つ中村

パ・リーグ 西武6-13日本ハム

(7月24日 西武D)
 トボトボと駐車場を歩く試合後の姿が寂しげだった。西武・中村が大谷から2発を放ち、5打点。記録ずくめの一日となったが、大敗なら意味がない。「しゃべる元気もないです。(午後)11時過ぎてるんで、もう帰っていいですか」。

 どうしても勝ちたかった。1―5の5回、2四死球と栗山の右前打で1死満塁。大谷の159キロ直球を右方向へ運んだ。打球がフェンスを越えると珍しくガッツポーズだ。同点の29号弾に「振り遅れちゃいました。速かったです」。満塁アーチは今季3本目で、通算15本目は王貞治(巨人、現ソフトバンク球団会長)の持つプロ野球記録に並んだ。それまで一度も満塁弾を浴びたことのなかった大谷との力勝負を制圧。「いつかは誰か打つでしょう」と言ったが、中村だからこその一撃だった。

 0―3の4回先頭の打席では、高めに浮いたスライダーを振り抜いた。左越え28号ソロで、ともにリーチをかけていた通算300本塁打と1000安打を同時に達成。「300」は球団では清原和博、秋山幸二の2人しかいなかった数字だ。

 22日は長男の6歳の誕生日だった。誕生日以降初めての試合で2発。長男が4歳だったころ「おもちゃのバットで、テレビを壊されました」と笑っていたが、もう6歳のお兄ちゃん。プロ野球カードを整理したファイルを持ち運ぶ姿に、「最近集め始めたんですよ」とうれしそうに話していた。チームとしてこれまで一度も勝てていない大谷に土を付け、愛息と一緒に喜びたかった。

 89試合を終え91打点は、シーズン146打点のハイペース。85年に落合博満(ロッテ)が記録したパ・リーグ記録(146打点)も捉えた。頼れる4番。投手陣が打ち込まれる中、三塁ベース上で何度も歯がゆそうな表情を浮かべていた。 (神田 佑)

 ▼ソフトバンク・王球団会長 凄いね。大谷から打ったんだってね。もともとホームランを凄く打つ選手だけど大したもの。でも、満塁だからホームランを打とうと思うものじゃないよ。みんなが騒ぐほど本人は気にしてないんじゃない。

 ≪6歳近く若く到達≫中村(西)が5回に大谷から今季29号の満塁本塁打。中村の通算満塁本塁打は15本となり、王(巨)の持つプロ野球最多記録に並んだ。パでは藤井(オ)の14本を抜く新記録となった。王の15本目は37歳10カ月で、通算本塁打数は767。中村は31歳11カ月、通算301本目と大幅に速いペースで肩を並べた。

 ≪マルチ本塁打31度目≫中村のマルチ本塁打は31度目。マルチ本塁打の最多は王の95度だが、西武では清原の36度に次ぎ、秋山の30度を抜いて単独2位となった。

 ≪歴代8位のスピード到達≫中村が4回に大谷から今季28号を放ち、通算300本塁打を達成した。プロ野球41人目。初本塁打は04年7月24日近鉄戦で山村から。1158試合での到達は、松井(巨)の1200試合を上回る歴代8位のスピード到達。

 ≪プロ野球281人目≫中村はこの本塁打で、通算1000安打も達成。プロ野球281人目。初安打は03年9月28日の日本ハム戦でミラバルから。通算300本塁打到達時に1000安打は951安打だった78年田淵(神)に次いで少ない本数となった。

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