日本ハム 若手が活躍するワケ…ドラフト前に実家“偵察”も

[ 2015年7月25日 09:10 ]

1年目でここまで32試合に出場している日本ハムの浅間

 日本ハムを担当していると、周囲から「どうして、こんなに若手が活躍するのか」とよく聞かれる。その理由を球団関係者に聞いてみた。答えは単純明快だ。

 「他球団にも試合で使えば活躍できる若手はたくさんいますよ」――。

 2004年に北海道移転してから12年目。これまでチームの屋台骨を支えてきたダルビッシュ、陽岱鋼、中田、大谷は高卒でドラフト1位入団した。では、それ以外の選手はどうなのか。今季開幕となった3月27日の楽天戦(札幌ドーム)のスタメンを見てもらいたい。

(1)西川遥輝22歳
(2)田中賢介33歳
(3)陽岱鋼28歳
(4)中田翔25歳
(5)ハーミッダ31歳
(6)レアード27歳
(8)近藤健介21歳
(8)谷口雄也22歳
(9)中島卓也24歳
 P 大谷翔平20歳

※開幕当時の年齢

 ハーミッダ、レアードの助っ人コンビを除いた平均年齢が24歳というのも特筆すべきだが、実は全員が高卒の生え抜き選手でもある。開幕以降も高卒ルーキーの浅間、2年目の渡辺、石川亮、4年目の石川慎、上沢が1軍で活躍。大卒でも2年目・岡、白村、3年目・鍵谷らが台頭している。球団カラーも独特だ。よく冗談交じりで「去る者追わず、来る者拒まず」と言われている。

 FA権を獲得した選手に対し、他球団とマネーゲームを展開してまで残留交渉は行わない。小笠原、森本、鶴岡、ダルビッシュ、建山、田中賢、小谷野、大引がFAやポスティング・システムを利用して移籍したが、逆に獲得したのは稲葉、メジャーから古巣復帰した田中賢だけ。一見、冷たいようにも感じるが、これこそがチーム内に新陳代謝を刺激し、若手の大きな成長を促している。

 日本ハムは「ドラフト」と「育成」を2本の柱に掲げている。つまり、能力の高い選手をドラフトで獲得、2軍で試合に使いながら育成する。シンプルなシステムだ。そういえば、高校野球を指導している学生時代の後輩が「日本ハムのスカウトは他球団と全然違う」と驚いていた。「ほとんどの球団が“A選手の守備は今すぐ1軍で通用するとか、2軍で3年鍛えれば1軍でプレーできる”と言うが、日本ハムは“我々はこんな選手教育をしている”と、まるで企業が会社説明をしているようだった」――。なるほど、と思った。

 こんな話も聞いたことがある。B選手を担当しているスカウトが、実家が自営業だと知り、お客として訪問。両親の仕事ぶりや人柄を観察し、B選手がどんな家庭で育てられたのかといったところまで分析し、ドラフト指名に踏み切ったのだ。ちなみに北海道移転後の日本ハムはリーグ優勝4回、2位1回、3位3回、4位1回、5位1回、6位1回である。今季も現時点で2位につけている。 (横市 勇)

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