【野球のツボ】好調外国人選手に共通の打撃スタイルあり

[ 2013年5月2日 11:30 ]

好調外国人選手の1人、DeNA・ブランコ。4月は球団新となる14本塁打を放った

 開幕から外国人選手の活躍が目につく。4月終了時点で、セはルナ(中日)、パはマギー(楽天)と、ともに来日1年目の外国人選手が打率トップを走っている。本塁打もDeNAに移籍したブランコが期待通りに破壊力を示せば、パでは日本ハムのアブレイユが4月に9本塁打をマークしている。アブレイユも来日1年目。しかも、2月キャンプで入団テストを受けて、契約を果たした。プロ野球ならではの、サクセスストーリーの主人公になっている。

 名前を挙げた選手の打撃スタイルを考えると、ヒザを曲げて、クラウチングに近い構えの打者というのが、当たっている外国人選手の共通項だ。ルナ、アブレイユ、1年目ではないが、打率上位のマートン(阪神)も似たようなスタイルだ。重心を低くして、投手に向かうことが、最近の投手の攻めに対抗するコツだと言えるだろう。

 重心が低いと、軸はブレにくくなる。日本のバッテリーはタテヨコの変化球で揺さぶりをかけてくる。重心が高いと、どうしても上体が起こされ、相手の術中にはまる可能性が高くなる。また、日本の投手はテークバックが比較的大きい。打者は同じようにゆっくり構えていては、そこからのスピードと変化に対処が難しくなる。ゆったりと来る相手には、トップを早く作れる打者が合うのだ。

 日本ハムでの現役時代、チームメートのトミー・クルーズという選手にアドバイスしたことがあった。来日当初は日本の投手に対して、全くタイミングが合わず、バットに当たらない選手だったが、後ろをコンパクトにして、パチンと当てるというフォームをモノにし、日本での成功につなげた。重心が低く、スイングがコンパクト、これで選球眼が良ければ最高。これが、今の日本の野球に適応できる外国人選手の条件だと思う。

 才能のある選手はメジャーも簡単には手放さない。加えて、代理人が売り込みのために編集するビデオは、いいシーンばかりで、ついついダマされてしまう。球団の海外担当者の日頃の調査、情報能力の差が、外国人選手に関する勝ち組と負け組に表れてくる。ルナやアブレイユの担当者は、球団もビッグボーナスをはずむべきではないだろうか。(前WBCコーチ・高代 延博)

 ◆高代 延博(たかしろ・のぶひろ)1954年5月27日生まれ、58歳。奈良県出身。智弁学園-法大-東芝-日本ハム-広島。引退後は広島、日本ハム、ロッテ、中日、韓国ハンファ、オリックスでコーチ。WBCでは09年、13年と2大会連続でコーチを務めた。

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2013年5月2日のニュース