中村紀 5本を忘れたいのはなぜ?「本当の勝負させてもらえなかった」

[ 2013年5月2日 07:24 ]

<D・ヤ>ファンの声援に手を振る中村

セ・リーグ DeNA5-4ヤクルト

(5月1日 横浜)
 DeNAの中村紀洋内野手(39)が1日、ヤクルト戦で日米通算2000安打を達成した。

 戦力外、育成選手契約、浪人…。最高で5億円だった年俸が、500万円になったこともあった。苦難を乗り越え、6球団を渡り歩いて到達した数字。しかし「感慨深いものはない」と言い切った。

 「自分にはどうにもできない世界があるんだな、と。あの時の5本を思い出せと言われても思い出せないし、数に入れたくない」。あの時とは05年のドジャース時代。憧れの舞台は契約上の壁もあり、長いマイナー生活が続いた。オープン戦で打率・295、チームトップの3本塁打を記録しながら開幕メジャーから外れ、故障者の穴を埋める形で4月に昇格したが、逆に選手補強のために枠を空ける必要があるとして1カ月後にマイナー降格。3Aで22本塁打を放ってもメジャーから声はかからなかった。3Aでの過酷な移動や長期連戦がその後、逆境の中でプレーを続ける原動力の一つとはなった。

 それでも、中村は言う。「本当の勝負をさせてもらえなかった。(大リーグ時代は)なかったものと思っている」。だからこそ、日米通算2000安打を達成したこの日も、花束や記念プレートの贈呈も辞退した。「(日本での2000安打まで)あと5本残っている」。反骨心だった。

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