仙台育英 12年ぶり8強!上林 WBCイチローばりV打

[ 2013年3月30日 06:00 ]

<早実・仙台育英>8回2死二、三塁、仙台育英・上林は二山から中前へ勝ち越しの2点適時打を放つ

第85回センバツ高校野球大会第8日3回戦 仙台育英4―1早実

(3月29日 甲子園)
 仙台育英(宮城)の4番・上林誠知(うえばやし・せいじ)外野手が、3回戦の早実(東京)戦で8回に決勝打を放ち、01年以来12年ぶりの8強入りに導いた。ヤンキースのイチロー外野手(39)に憧れる今秋のドラフト候補。25日の初戦でワンバウンドした球を二塁打にした曲芸打ちに続き、再び甲子園を沸かせた。東北勢初優勝を狙うチームは、4月1日の準々決勝で、高知―常葉学園菊川(静岡)の勝者と対戦する。

 まるで、あの時のイチローのようだった。1―1の8回2死二、三塁。打席に入った4番・上林は2球で追い込まれたが、粘る。低めのチェンジアップをカットし、5球目だった。高めに甘く入った直球を逃さず、中前に運んだ。決勝の2点タイムリー。送球間に二塁へ進んだが、ポーカーフェースは崩さなかった。

 「何だかんだ言って、やっぱり“持っているな”と思いました。やっとチームに貢献できた」。そう振り返った上林に対し、佐々木順一朗監督も「確かに持ってるのかなと思う。そういう場面で必ず最後に決めてくれる子」と、うなずいた。

 中学2年だった09年。WBC決勝の韓国戦でイチローが試合を決める一打を放った場面をテレビで目にした。同点の延長10回2死二、三塁。粘った末の中前2点打だった。一塁が空いている状況での勝負、送球間に二塁へ進んだプレー、ベース上でニコリともしない表情。全てが重なった。

 上林は「(笑顔がなかったのは)二塁に滑り込んだ時に砂が目に入って、それが気になっていました」というオチを明かしたが、「今大会はイチローさんに似ている打席が多い。最後までイチローさんのような打撃ができれば」と笑みを浮かべた。初戦の創成館(長崎)戦でもイチローのように、ワンバウンドする球を適時二塁打にする曲芸打ち。尊敬する選手に近づく打撃を、2度目の甲子園で再び続けた。

 昨夏の甲子園3回戦、作新学院(栃木)戦では自らの失策で敗れた。新チームでは大黒柱としての責任を背負うため、主将に立候補した。昨秋の公式戦では3本塁打を放って自信をつかんだ。だが、周囲の期待から重圧もあった。初戦の曲芸打ちは、ボール球に手を出した結果。この日の第1打席でも高めのボール球に手を出して空振り三振だった。「8回は追い込まれてコンパクトにいこうと思いました。ストライクなら全部振ろうと」。無心になれたからこそ、決勝打は生まれた。

 昨秋の明治神宮大会を制したチームは公式戦負けなしの17連勝。センバツは12年ぶりの8強入りだ。上林は東北勢初の優勝へ向け、きっぱりと言った。「ここまできたら優勝を狙うしかない」。中学時代から続けているという右手小指をバットのグリップエンドにかける姿も憧れの選手と重なる。上林はやっぱり、「イチ流」の選手だった。

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