大谷 新時代幕開け!高卒新人の開幕初安打初打点は史上2人目

[ 2013年3月30日 06:00 ]

<西・日>プロ初安打のボールを手にファンの声援に応える日本ハム・大谷

パ・リーグ 日本ハム5―3西武

(3月29日 西武D)
 日本ハムのドラフト1位ルーキー・大谷翔平投手(18)が西武戦に「8番・右翼」で先発し、5回の第2打席にプロ初安打となる右翼線二塁打を放ち、続く6回には右前適時打で初打点を挙げた。高卒新人が野手で開幕戦に先発出場するのは日本ハムでは59年の東映時代の張本勲以来で54年ぶり。安打を記録したのは球団史上初、さらに打点を挙げたのはプロ野球史上2人目の快挙となった。投手と野手の「二刀流」ルーキーは、まずは野手として新時代の幕を開けた。

 誰もが身を硬くする開幕戦で、18歳のルーキーは笑顔でプレーし続けた。そればかりか、勝利の立役者の1人となった。

 「1打席目に凄い真っすぐを見せてもらったし、三振でも楽しかったので。2打席目は積極的にいった。見逃せばボールだったかもしれませんが、しっかり振り抜けました」

 5回、高めの直球を振り抜くと痛烈な打球が右翼線を襲い、二塁打とした。プロ初安打。二塁をオーバーランしたところに返球があり、長い左足を伸ばして間一髪でセーフ。3回の初打席は西武・岸の全球ストレートに見逃し三振。手も足も出なかった直球を、しっかりと引っ張った。さらに1点勝ち越した直後の6回2死二塁。今度は外角のチェンジアップを右前打し、プロ初打点を叩き出した。

 新人合同自主トレ期間から、打撃マシンからの山なりのスローボールを打ち返す練習を取り入れてきた。上半身が前に突っ込まず下半身で粘って打つのが目的。そうすれば体の軸も目線もぶれない。変化球にも泳ぐことなく、自分のポイントで捉えられるからだ。7回には片岡の右翼ファウルゾーンへの飛球に体を反り返りながら長い手を伸ばして好捕するなど、守備でも野手として躍動した。

 リーグ屈指の守備力を誇った外野陣からトレードでオリックスに糸井が移籍し、右翼の定位置が空いた。守備力と経験を買えば赤田、長打力を重視するなら鵜久森となるが、将来性豊かな18歳の開幕スタメンを検討する余地は十分にあった。オープン戦の打率は・182。だが、17日の中日戦(鎌ケ谷)で本塁打を放つなど非凡さは随所にのぞかせた。1軍でこそ経験できるものがあるとの考えから栗山監督は少なくとも開幕1軍については早い時期から決めていた。

 「オープン戦で使ってもらって結果を出せなかった。先輩もいる中で(開幕スタメンで)使ってもらったので打ちたかったし、勝利に貢献したかった。得点に絡んで少しは貢献できたかな」

 そう照れた大谷。思い返せば、昨年10月。大リーグ挑戦を表明した大谷を日本ハムが単独指名する際、ドラフト会場のテーブルの上に小瓶がそっと置かれた。中身は岩手・花巻東高の土。大渕隆スカウトディレクターが運んできたものだった。心を込めて獲得した逸材がすぐに花を咲かせ、栗山監督は「褒めたかないけど、たいしたもん」と口にした。

 帰り際。初体験の西武ドームの長い階段を上がる大谷が「これ、きついっす」と漏らしたのが、唯一のプロの洗礼だった。

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