新潟の歓喜!小笠原サヨナラ弾で3強死守2・5差

[ 2010年9月11日 06:00 ]

延長10回、小笠原(左)は右越えにサヨナラ本塁打を放ち歓喜の輪の中へ

 【巨人5-4広島】クールな巨人・小笠原が右拳を新潟の夜空に突き上げて本塁上にできた歓喜の輪に飛び込んだ。チームの苦境を一振りで吹き飛ばすサヨナラ弾。もみくちゃにされたユニホームを整えても、まだ興奮が収まることはなかった。

 「やりました!手応え?しっかり残ってます。もう入ってくれと、それだけでした。集中していたんで(球種は)あんまり分からないですけど、しっかりとらえることができました」
 7回までの3点リードを救援陣が守れず延長戦へ。またか…。ベンチが重苦しい雰囲気に包まれ始めた10回。先頭で打席に入ると、1ボールからひざ元に落ちる横山のスライダーをすくい上げた。日本ハム時代の05年以来2度目、移籍4年目の巨人では初のサヨナラ安打がサヨナラ本塁打となった。「(距離は)やばかったな。走らないといかんなと思った」。打球は右翼席中段に達したが、見届ける余裕もないほどに必死だった。
 人知れず苦悩してきた。3連敗した3~5日の中日戦(ナゴヤドーム)では計2安打。好機で凡打を繰り返した。あらゆるルーティンを乱さずに試合に臨み、めったなことでは打撃フォームを変えない男が、7日の横浜戦(横浜)から打席で右足を半足分ほどホームベース寄りに出した。体の開きを防ぎ、最も球が見やすいクローズ気味の構え。わずかに変えた打席の立ち位置が劇的な一発を生み、同じ新潟での試合だった5月9日の横浜戦以来89試合ぶりの1試合3安打を放った。
 自力優勝の可能性は復活しない。9月もまだ2勝しただけ。ただ、この日も敗れれば、阪神に優勝マジック点灯を許す可能性があっただけに、原監督は「勝ったということが良かった。小笠原はこのところ勝負強さが出てる」と話した。
 通算2000本安打まで残り19試合で28安打となった小笠原は「全員で戦っている。先のことは考えず、あすの1試合を粘り強くやっていくだけ」とチームのためだけに身を削る覚悟。11日には16日ぶりに東京ドームへ戻る。首位・中日とは2・5ゲーム差。劇的な一発が、逆転V4への号砲になるはずだ。

 ≪5年ぶりのサヨナラ安打≫小笠原(巨)が延長10回にサヨナラ本塁打。自身サヨナラ打は6月7日楽天戦のサヨナラ犠飛(延長10回)に次いで今季2度目。サヨナラ安打となると日本ハム時代の05年8月7日西武戦で本塁打して以来5年ぶり2本目、巨人移籍後は初めてだ。今季の小笠原は同点の場面に強く145打数52安打(打率・359)、15本塁打、33打点。同点時の本塁打はセではラミレスの12本を抑え最も多い。6回には阿部が39号。小笠原、阿部のアベック弾は今季8度目でチームは全勝。通算では22勝1敗(勝率・957)と圧倒しており、08年10月5日中日戦からは14連勝となった。

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2010年9月11日のニュース