天理大・真城 「最後は狙っていました」大会史上8人目ノーノー 最速142キロでも七色の球種で快挙

[ 2023年6月6日 06:15 ]

第72回全日本大学野球選手権第1日・1回戦   天理大4―0西南学院大 ( 2023年6月5日    東京D )

<天理大・西南学院大>力投する天理大・真城(撮影・小海途 良幹)
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 開幕し、東京ドームと神宮球場で1回戦7試合が行われた。天理大は、西南学院大戦で最速145キロ右腕の真城翔大投手(4年)が大会史上8人目のノーヒットノーランを達成。4四球を与えながら8奪三振で快挙を成し遂げた。

 自信に満ちあふれていた。真城が無安打投球を続けていた3―0の8回。打線が1点を追加し、コールド勝ちまであと3点に迫った時の心境は「もうやめて…」。8回終了で参考記録になることなく4―0で9回を迎えると、あっさり3者凡退で片付けた。大会史上8人目の無安打無得点試合。内心の闘志とは裏腹に、右拳を軽く握って静かに喜んだ。

 「ノーノーを意識しないのは無理。最後は狙っていました」

 高知商から天理大に進んだ。高校OBの元阪神・藤川球児氏のように直球で真っ向勝負するタイプではない。この日の直球は最速142キロで、大半が130キロ台後半。丁寧に、根気強く変化球を低めに集め続けた。「変化球も直球も良かったので打ち取れました」。得意球のスプリット、チェンジアップに加えてカーブ、スライダー、ツーシーム、カットボールと、直球も含め7球種を操る器用さが持ち味。「火の玉」はなくても、七色の球種で快挙を遂げた。

 昨年も大会初戦(対名城大)の先発を託された。しかし、1―0の8回無死一、二塁で降板。直後に逆転3ランを浴びて敗れた。「あそこで代えられたことが悔しかった」。くしくも、同じ日に、東海大札幌・渡部雄大が史上7人目のノーヒットノーランを達成した。雪辱に向け、走り込みや投球練習を増やして完投にこだわってきた。「去年の借りを返すために、最後まで投げ切れる体力を求めてきました」。今春はリーグ戦で5試合に登板(うち先発4試合)して3完投、防御率0・99。成長して全国大会に帰ってきた。

 関西地区を担当する広島・鞘師智也スカウトは「リーグ戦と比べても今日は特に良かった」と大舞台での力投に驚いた。「社会人野球を経験し、最終的にはプロに行きたいです」。全国的には無名だった右腕が、一気に名を上げた。(河合 洋介)

 ◇真城 翔大(ましろ・しょうだい)2001年(平13)6月2日生まれ、高知県四万十市出身の22歳。中村小2年時に中村スポーツ少年団で野球を始める。中村中では軟式野球部。高知商で1年夏からベンチ入りし、2年秋から背番号1。天理大では3年春に最優秀投手賞とベストナインを受賞。1メートル78、80キロ。右投げ左打ち。

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