駒大 19年ぶり往路V 学生駅伝3冠見えた イメージ払しょく 大八木監督攻めの布陣

[ 2023年1月3日 05:10 ]

第99回東京箱根間往復大学駅伝 往路 ( 2023年1月2日 )

<第99回箱根駅伝・往路ゴール>往路優勝を果たし、ガッツポーズでゴールする駒大5区・山川(撮影・尾崎 有希)
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 過去7度の総合優勝を誇る駒大が5時間23分10秒で19年ぶりの往路優勝を果たし、初の学生駅伝3冠へ王手をかけた。昨年12月上旬に新型コロナウイルスに感染した1万メートル世界選手権代表の田沢廉(4年)が本調子ではない中で奮闘し、4区の鈴木芽吹(3年)、当日変更の5区・山川拓馬(1年)も力走。区間賞ゼロながら、5人が区間2~4位にまとめる総合力の高さを示した。中大が30秒差で2位、2連覇を狙う青学大が2分3秒差で3位につけた。復路は3日午前8時に芦ノ湖をスタートする。

 強い。3冠阻止を試みたライバルたちをはねのけ、駒大がトップで芦ノ湖にたどり着いた。指導28年目の大八木弘明監督(64)の肌艶もすこぶる良い。「19年ぶりの往路優勝で、うれしく思う。区間賞のない優勝だが、選手たちがしっかり自分の役目、目標タイム含めてしっかり走ってくれた。粘るレースをしてくれた」と納得顔だった。

 花の2区を任されたエース田沢は、昨年12月上旬の合宿中にコロナに感染した。まともな練習ができたのは1週間前というぎりぎりの状態でも、激戦区を区間3位にまとめた。2位でたすきリレーした田沢は「体調不良でも自分の走りをやった」と胸を張った。

 青学大、中大と三つ巴の大接戦となったが、役者がそろっていた。2位で受けた4区の鈴木は青学・太田とのスパート合戦を制してタイム差なしで5区へ。当日変更のスペシャリストの山川は、中大・阿部に詰められながらも最後は勝ちきった。「3区まで我慢のレース、(鈴木)芽吹と山川で何とかしてくれる」と指揮官が期待した通りの走り。「復路の駒大」のイメージを払しょくする大八木監督の攻めの布陣だった。

 田沢の下に結束し、指揮官もその思いをくんだ。前年の優勝から総合3位に沈んだ1年前、8区18位に終わった鈴木は、その夜の風呂場で田沢から「こういう失敗をして強くなれる」と声をかけられ、「次世代エース」と呼ばれるまでに成長した。だからこそ鈴木は「去年から支えてもらった。今度は自分が助けないと」と奮い立った。それぞれの役割に集中し、エースの回復を待った。

 田沢の療養中、大八木監督は「2区をやってもらいたい選手がいたが、誰も“うん”という返事をくれなかった」と苦笑いで振り返る。だが、それは復活を信じる思いだと受け取った。「田沢に全部負担をかけてしまったが、しっかりまとめてくれた。彼がまとめたから往路優勝できた」。復路は経験のある上級生をそろえ、補欠にはスーパールーキーの佐藤圭汰も控える充実の布陣。史上5校目の学生駅伝3冠を、しっかり視界に捉えた。

 ≪往路優勝→完全優勝 2/3回≫駒大の往路優勝は過去3度あり、うち2度(00、04年)が復路も制しての完全優勝。99年は復路で失速し総合2位だった。残り5度の総合優勝は往路2位か3位からの逆転V。

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