陸上女子やり投げ・北口榛花の23年の一字は「導」 後進らを「導けるような存在になりたい」

[ 2023年1月3日 09:05 ]

笑顔で、うさぎポーズを見せる北口榛花(撮影・会津 智海)
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 陸上女子やり投げの日本記録保持者で、昨年の世界選手権で日本初の女子投てき種目の表彰台となる銅メダルを獲得した北口榛花(24=JAL、旭川市出身)が本紙の新春インタビューに答えた。23年は漢字一文字に「導」を選び、人々を導けるような活躍を誓う。8月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)では2大会連続のメダルとなる銅以上を目指す。(聞き手・武田 政樹)

 ――22年の漢字一文字には「破」を選び、世界の壁を突破した喜びを表現した。23年は「導」を選んだ。その理由は。

 「自分はまだ若い方ですが、22年は海外の試合をたくさん経験し、成績を収めていく中で自分一人では、なかなか変えられないものがあると思いました。これからはいろんな人を巻き込んで進み続け、その人たちを導きたい。やり投げをやりたい人、今やっている人、世界を目指したいと思う人を導けるような存在になりたいと思っています」

 ――22年は世界選手権銅メダル。多くの人を導く存在として、今後はどういう取り組みをしていきたいか。

 「22年の試合に自信を持って臨めたのは、トレーニングをしっかり積めたという事実があったから。今後もしっかりコーチと話し合いながらやっていく。世界で戦えるようになるためには、自分がどのくらい投げられるのかを把握できることも大事。いつも試合では、今日はどのくらい飛ぶのかなという感じで投げているので(笑い)。調子を把握できるようになりたい」

 ――22年はダイヤモンドリーグでも活躍。シーズンを通じた安定した成績は、体づくりがうまくいったことが要因の一つとなった。

 「ハイレベルな体力というよりも人間らしく動くこと。普通に走り、普通にジャンプして、普通に投げるための力に取り組んできた。凄く派手な練習ではなく、山に登ったり、ジョギングをしたり、ローラースケートを滑ってみたり…という練習が多かった。その意味もようやく分かったし、それに助けられているんだなということを実感しました」

 ――昨年10月の国体では65メートル68のシーズンベストを出した。

 「投げ終わった後に体勢が崩れ、ちょっと失敗したかなと思ったけど、スクリーンで刺さった位置を見てびっくりしました。でも、それはそもそもダメなんですけどね(笑い)。自分が投げる感じで飛んだか、飛んでいないかが分からない。毎回、観客の人たちと同じタイミングで私もどのくらい飛んだかを把握している。23年は直したいです」

 ――19年の66メートル00の日本記録に迫った。

 「66メートルという数字は1回投げたからこそ、また投げられる自信もあって、ここまでやってきた。国体で65メートル後半を出せたので23年は出せるのかな、更新できるかなと思っています」

 ――記録への挑戦。70メートルという数字は。

 「正直、70メートルを女子選手が投げているイメージはできない。でもブリュッセル(ベルギー)の試合でアメリカの選手が68メートルを投げたのを見て、68メートルくらいまでならいけるかなと思った。実際に見て、イメージができました。まずはアジア記録(67メートル98)を目標に、そこから70メートルという数字を見られたらいいのかなと思う」

 ――昨シーズン後、銅メダルを持って、旭川市役所や母校・旭川東を訪れた。

 「今まで何度か訪問して、あんな歓迎は初めてだった。凄くうれしかった。また頑張りたいなと思いましたし、どんな形でもいいから旭川の人に元気を与えられたらいいなと思います」

 ――今年はハンガリー・ブダペストで世界選手権が開催される。

 「今回(22年)は入賞を目標にメダルを獲れた。次はメダルを目標にして、メダルの色が今回よりも少しでもいい色であればいいなと思います」

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