フェアリージャパンが2種目で銅メダル 「思いが込み上げた」杉本が指揮官と交わした言葉

[ 2021年10月31日 23:06 ]

新体操・世界選手権最終日 ( 2021年10月31日    北九州市・西日本総合展示場 )

新体操・世界選手権 団体種目別フープ・クラブで銅メダルを獲得し、笑顔を見せる日本チーム
Photo By 代表撮影

 団体種目別決勝が行われ、杉本早裕吏(25=トヨタ自動車)、松原梨恵(28=東海東京FH)、鈴木歩佳(22=日体大)、稲木李菜子(18=東京・駒場学園高)、今岡里奈(18=東女体大)で臨んだ日本はボールで44・500点、フープ・クラブで30・900点をマークし、ともに銅メダルを獲得した。両種目とも前回19年大会に続く表彰台。ボールはRGF(ロシア連盟)が46・000点、フープ・クラブはイタリアが42・275点で制した。

 新生フェアリージャパンが、大会最終日に2個のメダルを獲得した。団体8位に終わり、涙を流した東京五輪から約3カ月。主将の杉本は2種目目フープ・クラブの演技を終えると「幸せな気持ち。いろんな思いが込み上げた」と感慨深い表情を浮かべた。1種目目のボールでは落下のミスがあったが、引きずらずに堂々と演技。勢いのままにフープ・クラブでも大きく崩れることはなかった。

 東京五輪後はショックのあまり、立ち上がるのに時間がかかった。杉本は「ここまで落ち込んだのは初めてってくらい落ち込んだ。練習再開っていう状況にも最初は入っていなくて、それくらい気持ちが落ちていた」。松原は情緒不安定になり、競技を続けるかさえ悩んだ。それほど、選手たちにとって五輪の演技がトラウマになっていたという。

 そんな時、今大会をもって退任する山崎浩子強化本部長(61)が、杉本と松原にお願いをした。「2人の人生のうちの2カ月間を私にください」。ここまで共に戦ってきた指揮官の言葉に心を動かされた。

 その後、東京五輪からメンバーが2人代わり、ともに18歳で初代表の稲木と今岡が加入。新チームとしてスタートし、短期間で演技構成や連係技に磨きをかけ、見事2つのメダルを手にした。

 この日の演技終了後、山崎強化本部長は杉本と松原に感謝の気持ちを伝えつつ「やって良かったか?」と声をかけた。2人は「良かったです」と言い、今度は杉本が山崎強化本部長に「恩返しできましたか?」。指揮官は「十分に(恩返しを)いただきました」と感謝し、言葉を交わした。

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2021年10月31日のニュース