陸上・金井大旺が現役ラストレース「悔いはない」 歯科医師の夢実現へ再スタート

[ 2021年10月9日 19:06 ]

東京五輪代表の金井(右)とリオデジャネイロ五輪代表の矢沢は引退レースを終え笑顔
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 陸上男子110メートル障害で東京五輪代表の金井大旺(26=ミズノ)が9日、母校・法大で行われた競技会で引退レースに臨み、13秒55(追い風0・1メートル)の1着で現役生活に区切りをつけた。

 多くのトップ選手を輩出してきた法大ならではの、白熱したラストレースだった。金井は16年リオデジャネイロ五輪代表の矢沢航(30=デサント)ら同輩と競い合いながらトップでフィニッシュ。ゴール後は8年間切磋琢磨(せっさたくま)してきた矢沢と抱き合い、「矢沢さんと走れる最後のレース。悔いなく全力で走れる準備をした。思い出のある競技場で、練習を思い出しながらスタートラインに立ちました」と感慨深げに振り返った。

 今夏の東京五輪は準決勝に進出。転倒し悲願の決勝に手は届かなかったが、前日本記録保持者として日本ハードル界の飛躍を体現するレースを見せた。選手としてはまだまだ伸びしろを感じさせる26歳。それでも歯科医師の夢をかなえるため、現役を退く決意が揺らぐことはなかった。「競技からは完全に離れるので寂しさはある」としつつ「法政を選ばなかったら陸上は大学でやめていた。最大の目標の東京五輪にも出場できた。悔いなく終われた。本当に感謝したい」と時折声を詰まらせた。

 到達できなかった決勝の舞台は「どんな形になるか分からないけど、持っている技術や経験を伝えていきたい」と後進に託す構えだ。今後は来春の大学入学を目指し勉学に励む。常に自身の走りを追求してきたハードラーは「勉強も競技も根本は同じ。競技に尽くした分、次は歯科医師の夢に向けて全力を尽くしたい」と語り、「信頼される歯科医師になりたい」と新たな目標を立てた。慣れ親しんだグラウンドに別れを告げ、金井の第2の人生が幕を開ける。

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2021年10月9日のニュース