「ボンジテッテイ」に「スローポイズン」 躍進ドコモに好スローガンあり

[ 2021年4月25日 10:20 ]

NTTドコモのスクラムの要、プロップ北島大(左)
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 ラグビー・トップリーグ・リーグ戦グループ3位、好調のNTTドコモから、響きがいい言葉が今季はよく聞こえてくる。「凡事徹底」という四字熟語は、国籍に関係なく、「何でもないような当たり前のことを突き詰めて行う」という意味がメンバーに浸透している。南アフリカ人の主将エラスマスが「ボンジテッテイ」と日本語で呼びかけるほどだ。

 スクラムにもある。「スローポイズン」という耳慣れないけれど、興味をかき立てられる言葉を口にしたのは35歳、入社14年目のベテラン、プロップ北島大。スクラムマシンにFWを7~8人乗せ、それを押しまくる練習を指すのだという。

 「コーチが笛を鳴らすまで、何メートルも、何十秒も押し続けることもある。名物トレーニングですね」

 昨季まではなかった。「再建の名人」として世界的に知られるアッカーマンヘッドコーチが就任してから始まったスクラム強化メニューだ。押し始めても、いつ休憩をさせてもらえるかは分からない。

 「脚にきて、乳酸がたまって、そこで押せるか」

 「効き目が遅い毒薬」という意味に取れる「スローポイズン」の言葉を地で行くように、じわじわと体を蝕む内容のようだ。

 南アフリカ人の名将は、大阪に来てから、密集でのボール争奪戦とセットプレーの練習に、多くの時間を割いて来た。ニュージーランド代表69キャップのSHペレナラの加入だけでなく、守備の整備を含めた“再建策”が、躍進を支えている。

 北島も充実感を口にする。スクラムで大苦戦した昨季と比較して、「練習時間が倍増した」とやりがいを口にする。組み方も変わった。「第一列は低さを意識する。押すのは後ろの5人。そこがエンジンになる。僕たちフロントは後ろの押しを信じている」。8人のまとまりがより重要視されているのだ。

 ただし、まだ「成長段階」と、他チームを圧倒できるほどの力はない。25日のプレーオフ2回戦で当たるホンダも、見下すような意識で臨める相手ではない。

 「相手のスクラムは弱くない。安定して組んでいいアタックにつなげたい」

 一つ勝てば、今季の目標の「8強」を実現できる。相手にとって「毒」となるスクラムを目指し、押しまくる。(記者コラム・倉世古 洋平)

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2021年4月25日のニュース