反人種差別運動へのブーイングに困惑の声 変革求めるならひるまず行動を

[ 2020年9月14日 09:00 ]

 テキサンズのDEワットは嘆いたという。

 「全く理解できないよ」と。

 米プロフットボールNFLの20~21年シーズンは10日、昨季王者チーフスが本拠地カンザスシティーでテキサンズを34―20で破って開幕。複数の選手が首をかしげたのは試合前のことだった。両チームの選手とスタッフがフィールドの中央で腕を組んで一列となった「連帯の瞬間」で人種差別に対する抗議の意思をアピールしたが、スタンドの一部からブーイングが起こった。

 白人警官による黒人男性暴行死事件から人種差別撤廃の運動が高まりを見せる中、少数とはいえ否定的な反応が出たことに選手は困惑。国歌斉唱時に片膝をつく行為に関してはトランプ大統領に限らず「国歌や国旗に対する侮辱」という声が上がることはあるが、ワットは「国旗は関係なかった。2つのチームが一緒になって連帯を示した以上のものはなかった」と訴えた。テキサンズのオブライエン監督は「ブーイングは多分(アウェーの)我々がフィールドに出ていったからだろ」と深刻には受け止めなかったが、カンザスシティーのルーカス市長はツイッターで「ブーイングは耳にしたが、我々には選手のメッセージに敬意を示す何十万もの市民がいる」と選手への支援を訴えた。

 「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」の標語を掲げた反人種差別の運動はスポーツ界を含めて世界的に大きなうねりとなっている。行き着く先が人種や国籍、性別などの「多様性」を認め合う公正公平な社会の実現ということになるのなら、反対も含めて多様な意見に耳を傾ける必要もある。

 新型コロナウイルス感染拡大後、北米4大スポーツで観客を入れての開催はNFLが初めて。自治体によって対応が異なる状況で当面は無観客のチームが多く、チーフスのホームも収容人員の22%に相当する約1万7000人が上限だったが、各競技場で行われている人種差別撲滅の行動に対する観衆のダイレクトな反応は今回の開幕戦が初めてだった。

 ブーイングの真意は不明ながら、物理的な危害を加えられたわけではない。テニスの全米オープンを制した大坂なおみ風に、これをきっかけに「人々が議論を始めてくれたらいい」ぐらいの感じで受け止めればいいのではないか。変革を求めていくのであれば、やじやブーイングぐらいでひるむことなく胸を張って行動すればいい。(記者コラム・東 信人)

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