競泳ニッポン新たな聖地への期待 国内“最高峰”標高1750mプール 長野県東御市「湯の丸高原」

[ 2020年1月7日 09:00 ]

2020THE WEAPON~勝利の秘策

日本競泳陣の“秘密基地”GMOアスリーツパーク湯の丸の屋内プール(撮影・白鳥 佳樹)
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 東京五輪でメダル量産の期待が懸かる競泳日本代表が、新たな強化拠点として活用する施設がある。昨年10月、長野県東部の東御市(とうみし)にある標高1750メートルの「湯の丸高原」に国内初の本格準高地プールが完成した。総工費13億円。多くの選手が、海外で2000メートル以上の高地合宿を実施後に東御経由で五輪本番に向かうプランを描く。高地(海外)→準高地(東御)→選手村がセンターポールへの必勝ルートとなるか。利点や課題に迫った。 (木本 新也)

 浅間連峰の標高1750メートルに位置する「GMOアスリーツパーク湯の丸」に国内初の準高地プールはある。首都圏から約200キロ、アクセスは車でも鉄道でも3時間以内だ。8レーンの50メートルプールは水深2メートルで、日本水泳連盟の規格を満たす。これまで競泳日本代表は高地を求め、米フラッグスタッフ(標高2100メートル)、スペイン・シエラネバダ(同2320メートル)、中国・昆明(同1890メートル)、メキシコ・サンルイスポトシ(同1880メートル)などに遠征しており、東御は新たな高地合宿の聖地として期待されている。

 昨年10月に完成。トレーニングジムはプール脇と宿舎内の2カ所あり、プール脇側には競泳選手に特化した上半身を鍛える器具が多く、最新のフィットネスバイクも導入している。アスリート仕様の宿舎は1~6人部屋で、ロビーには薪(まき)を燃料とする本格的な暖炉も完備。管理栄養士の提供する食事は一品ごとにカロリーが表示される。

 11月25日~12月11日には早速、競泳日本代表が合宿地として利用した。200メートルと400メートルの個人メドレーで五輪出場が内定している瀬戸大也(25=ANA)は「時差、移動のストレスがないのは凄いメリット」と好感触。女子エースの大橋悠依(24=イトマン東進)は食事について「卵とかアレルギーがあるので、海外では何が入っているか分からないものを避けるが、日本なので心配なく食べられる」と言う。

 多くの選手が五輪本番前の最終調整の場所として利用することを検討している。海外で約1カ月の高地合宿を張り、開幕2~3週間前に帰国して東御入り。開幕直前に下山して直接、選手村に入れば、時差や移動の負担が減る。2000メートル以上の高地と比べて内臓などへのダメージも少なく、食事も安全なため体調を崩すリスクも軽減される。

 自国開催の地の利を生かせるプランだが、課題やマイナス面もある。個人差はあるが、一般的に高地トレーニング後から試合までの間隔は1週間~10日が最も効果的とされており、準高地を挟むことで持久力向上の効果は薄れる。ある有力選手は「2000メートル以上の場所で合宿した後の方が、高地から帰ってきた感覚がはっきりと生まれる」と指摘。それでも瀬戸は東御から下山9日後の昨年12月20日に400メートル個人メドレーで短水路(25メートルプール)世界記録を樹立しており、練習強度の調整次第でタイムが出ることを実証した。

 ◆高地トレーニング 低圧、低酸素の環境で練習することで、持久力向上を図る目的がある。低酸素に対応しようとすると、赤血球やヘモグロビン、血液量が増加。血液中で酸素を運ぶ能力が上がることに加え、筋肉内で酸素を効率的に利用できるようになる。競泳や陸上マラソンのトップ選手が大会前の強化として取り組むことが多い。

 《陸上もOK 400メートルトラック整備》GMOアスリーツパーク湯の丸には日本で最も標高の高い場所にある全天候型の400メートルトラックもある。800メートルの林間ジョギングコース、2500メートルのトレイルランニングコースも整備されており、陸上の実業団チームが合宿地として活用。昨年9月のマラソングランドチャンピオンシップの前には日本記録保持者の大迫傑(28=ナイキ)らも利用した。

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