白鵬42度目賜杯、平成最後に史上初5年連続全勝V 大鵬ら超えた

[ 2019年3月25日 05:30 ]

大相撲春場所千秋楽   ○白鵬―鶴竜● ( 2019年3月24日    エディオンアリーナ大阪 )

八角理事長(右)から賜杯を授与される白鵬(撮影・奥 調)
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 白鵬が結びで鶴竜との横綱対決を制し、3場所ぶり42度目の優勝を飾った。15度目の全勝V、14年連続の優勝も自身が持つ史上最高記録を更新した。5年連続で全勝優勝も記録し、大鵬らを抜いて単独1位。一方で、取組後は右腕を押さえて口元をゆがめ、状態が心配される。

 右腕の付け根を押さえ、苦悶(くもん)の表情を浮かべた。白鵬は勝負審判の一人、朝日山親方(元関脇・琴錦)の力を借りて、なんとか賜杯を抱いた。優勝インタビュー後は観衆に呼びかけて「3本締め」。気丈に千両役者らしく締めた。

 「切れているだろうね」。支度部屋では氷で患部を冷やし、本音が漏れた。平成最後の一番で、鶴竜を土俵下に転がして優勝を決めた右腕は、代償を伴っていた。「無理した」。いつもの優勝後とは違い、口数も少なかった。

 それでも色あせない新たな記録も加わった。史上初となる5年連続の全勝優勝達成。あの大鵬、双葉山、北の湖も4年連続が最多だった。

 「平成に育ててもらった」。野球賭博問題の余波で賜杯授与が見送られた10年名古屋場所後に天皇陛下から相撲協会に届いた手紙に、感銘を受けた。師匠、宮城野親方(元幕内・竹葉山)も「人一倍あった」と証言する平成への恩返しの気持ちが詰まった場所だった。11日目の貴景勝戦には、立ち合いの「かち上げ」も解禁し平成生まれのホープを撃破。場所中に34歳になったが、世代交代の声に「NO」を突きつけた。

 休場した九州場所後に自身2度目という断食を敢行。「感覚が研ぎ澄まされる」と効果を話す。食物の中では油を重視。現代人に不足しがちな「オメガ3脂肪酸」が多く含まれるアマニ油を毎日、納豆などにかけて摂取している。

 細心の注意を払ってメンテナンスしてきた肉体は最後に悲鳴を上げた。新たな時代へ、期待と不安が交差することになったが、最強横綱はまだまだ主役を譲るつもりはない。

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