牧野 逆転V!頭部手術乗り越え“貴公子”復活

[ 2013年5月27日 06:00 ]

優勝を飾った牧野裕

マイナビ創立40周年・スポニチ創刊65周年記念事業 マイナビシニア&レディースカップ最終日

(5月26日 千葉県柏市 藤ケ谷カントリークラブ=男子6884ヤード、女子5985ヤード、パー72)
 レギュラーツアーで4勝を挙げている人気プロの牧野裕(57=デサント)が、逆転優勝した。1打差の2位で出て6バーディー、3ボギーの69、通算6アンダーで回り、3年前に受けた頭部の手術から完全復活を果たした。初日9位のたにひろえ(47=バーニングプロダクション)が、71の通算1アンダーで女子トップの6位に入った。優勝した牧野には賞金200万円と、副賞としてトルコ航空から成田―イスタンブールのペア往復券が贈られた。

 80、90年代のレギュラーツアーを支えたメンバーが死闘を再現する。3アンダーでスタートした牧野が1、3番のバーディーでトップに立つと、ジャンボ軍団の飯合が、飛ばし屋の加瀬が追いかける。そして最後は米ツアーでもプレーした水巻が2打差まで迫る。かつてのライバルとの勝負を制した牧野は「優勝はもちろん、ツアーメンバーと一緒に競い合えるようになったのがうれしい」と貴公子とも呼ばれた爽やかな笑顔を見せた。

 2日連続の69、6アンダーは計8ホールあるパー5で5バーディーを奪った結果だ。藤ケ谷CCは距離がある上、グリーンは「トーナメント並みに硬く、フェアウエーから打たないと止まらない」。プロも苦しむセッティングの中、牧野は「パー5でバーディーを取るのが鉄則」を実行した。男女のシニアが混合で優勝を争い、アマチュアと一緒に回るユニークな大会。スコアのままならないアマもおり、1ストロークを争うプロには厳しい一面もある。だが、牧野は「全然苦になりません。途中でレッスンしたりアマに楽しんでもらうのは僕たちシニアの役割」ともてなし役も務めながらスコアを伸ばした。

 1956年、東京生まれの57歳。日大を出てプロ転向、レギュラーツアー4勝を含め、プロ通算8勝している牧野が「本当にうれしい」と繰り返したのには訳がある。3年前に脳動脈瘤(りゅう)のため開頭手術を受け、入院、治療に半年。以後も思うような練習はできず、昨年もシニアツアーは3試合の出場のみ。しかし、先月、精密検査で「もう大丈夫。2年に1回の検査でOK」との結果が出た。不安は消え去った。

 予選会で出場権を獲得した今季は「シニアツアーを中心に10試合前後は出場したい」という。優勝と名のつくものを手に入れたのは手術後初めて。復活の幕開けとなった。

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