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“忍者”になって攻略 ヒレピン70センチ超レイクトラウト C&R繰り返して賢く敏感に

[ 2023年4月25日 07:13 ]

男体山をバックにレイクトラウトを釣り上げた筆者
Photo By スポニチ

 トラウトの中心地と言われる栃木県日光市の奥日光エリア。中でもひときわ熱狂的マニアが多く、聖地と呼ばれるのが中禅寺湖だ。今回は南岸の遊歩道を使ったトレッキング&フィッシングを紹介しよう。 (吉田 俊彦)

 筆者は岸からの釣りが解禁して10日が経過した中禅寺湖に釣行した。トラウトの餌となるワカサギの接岸を期待して山側をトレッキングしながらポイントを探す作戦だ。

 歌が浜の駐車場に午前9時半過ぎに到着。湖岸の遊歩道を数キロは移動するためトレッキングシューズを着用。登山用のザックにお弁当とウエーダーを詰め込み、腰には剣ナタを装備。一路最奥地の大日崎を目指す。

 この時間帯は早朝から釣っていた釣り人がポイント移動するタイミングなのだ。何人もすれ違うたびにあいさつする。不思議なもので交わした声で良い釣りをしたか分かるものだ。むじな窪まで来たときに陽気な男女3人組と出会った。聞けば全員がルアーで50センチオーバーのブラウントラウトやレイクトラウトを釣ったという。

 「朝方に八丁出島で釣りました。風が強くなって今は釣り人いませんよ」。この一言で八丁出島の先端を目指すことに。私にとって風はチャンスなのだ。もはや道とはいえない湖岸の踏み跡をたどり先端に到着。利き手側からの風を利用し、オフショルダーキャストがうまくいったことに少し自己満足。カケ上がりを意識してフライを10秒間カウントダウンする。ゆっくり長く3回、リトリーブしたところで前当たりがあり、4回目で根掛かりしたかのような重量感。「やっちゃったかな」と思いロッドを立てようとすると「ガクン、ガクン」と地球が動いた。ヒット後しばらく悠然と泳いでいた魚が、突然沖に向かって走り出しリールの逆転音が鳴り響く。

 スピーディーな走りを数回繰り返したあと、今度は深く潜り100年前の英国製バンブーロッドを満月にする。水中の岩に巻かれないようにロッドを高く掲げ、対抗。やっと水面に現れたのはヒレピン70センチオーバーのレイクトラウトだった。なんとか浅瀬に誘導し勝負あり。手をよく水に濡らしてから写真撮影。リリースするとゆっくりと湖底に戻っていく姿が印象的だった。

 中禅寺湖は東日本大震災以降キャッチ&リリースが定着し、ほとんどの釣り人がリリースを慣行している。トラウトの中心地だけあって対象魚もヒメマス、ホンマス、ブラウン、レインボー、レイクと豊富だ。しかし依然として中禅寺湖で岸から魚を釣るのは難しいという人が多い。考えられる一つの原因としてリリースを繰り返された結果、賢く敏感な魚が増えたこと。だからなるべく立ち込まないように静かに釣ればヒット率は向上する。私は#6番11フィートのロッドに#7WFシンキングタイプ3の組み合わせ。リーダーはVARIVAS「テーパードリーダーFHTスティルウォーター3X」を使用しフライの完璧なターンを実現している。そして忍者のように静かに行動することで、どこか神秘的な中禅寺湖のトラウトたちと出合うことができると思う。

 ▼釣況 上信越地区釣宿連合会所属、民宿おかじん=(電)0288(55)0410。

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