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大沢さん3分30秒圧倒!!10年ぶりV 底狙いに徹しフライ動かさないようにして正解

[ 2023年3月30日 07:15 ]

バリバスの田中誠治本部長(左)から優勝した大沢さんに副賞のライトトレイルフライロッドが授与
Photo By スポニチ

 【釣り人掲示板】VARIVASカップ争奪第12回「バーブレスサバイバルトーナメントフライフィッシング選手権大会」が21日、埼玉県川越市の川越水上公園で開催された。NPO法人バーブレスフック普及協会が運営するこの大会は、スポーツとしての釣りマナー向上を目的に毎年開催されている。今年も腕に自信のフライ愛好者たちが川越に集結し、早朝から熱いバトルが繰り広げられた。 (吉田 俊彦)

午前6時から選手受け付けが開始され27人がエントリーを完了。予選を3組に分け、釣り座を決めるためのクジ引きが行われた。開会式に続いて競技説明、そして予選グループと釣り座の発表後、定刻の7時に予選A組の競技が開始された。

 この大会の特徴となっているのが「3匹早掛け勝ち抜け方式」。読んで字のごとく、早い者勝ちのスリリングな競技で、3匹目をネットインしたタイムが早い選手から勝ち上がるトーナメント戦。決勝に進むためには、それぞれ予選、2回戦、準決勝を上位6人以内のタイムで通過しなければならない。また予選敗退者の敗者復活戦からも6人が2回戦に進出できる。

 今年は例年より暖かい日が続いたため、当日の水上公園プールの水温は17度と、例年よりも2度ほど高めだ。トラウトの活性が高まりスピード感あふれる大会が期待されたが、現実はそうはならなかった。予選の20分間に釣果なしの選手が出てしまうほど食い渋った釣況。適水温と思われたが、トラウトにとって酸素が足りていない可能性もある。また場所による釣果の偏りが見られたため、敗者復活戦が終わった時点で大会役員が協議し、公園にお願いして、止まっていた水車を稼働してもらうことになった。

 準決勝までに歴代大会の覇者が姿を消すという波乱がある中、6人の選手が決勝へと駒を進めた。

 緊張感のある決勝戦。栄えある第12回大会の優勝に輝いたのは、東京都清瀬市の大沢宏さん。大沢さんは第2回大会で初優勝を飾っている。今回は決勝タイム3分30秒と他を寄せ付けない圧倒的なタイムで10年ぶりに表彰台の中央に立った。

 試合後のインタビューで「底狙いに徹したこと、あまりフライを動かさないようにしたこと」を勝因に挙げている。準優勝は10分57秒で埼玉県杉戸町の田中慎吾さん。予選から決勝まで常に3位以内をキープする実力を見せつけた。そして3位は11分23秒で同県入間市の吉田文也さん。吉田さんは毎回決勝に残る強豪であり、ネットイン後の魚の扱いがとても丁寧な真のスポーツマンである。

 参加選手も観客もスタッフも、緊張と解放感を交互に実感するこの大会。大会の趣旨は、みんなが普段から安全なバーブレスフックを使うことで魚を大切にし、いつまでも良い釣りを楽しみたいという大目標。エリアフィッシングの台頭で、ルアーフィッシングは自然のフィールドにおいてもバーブレス使用率が著しく上昇した。悲しいことにフライフィッシングはバーブレス後進の釣りに転落している。このフライ選手権のハイレベルな戦いを見れば、バーブレスだからバレるなんて発想自体もはや過去のものだと分かるだろう。釣れるからバーブレスフックなのだ。

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