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“神”の祝福3キロ超ブラウン 「ドラカワ」から「タイプ4」に替えヒット

[ 2021年4月4日 06:59 ]

ヘラブナのように太ったブラウンを釣り上げた“ゴッド”こと岩沢さん
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣友録】 3月中旬「でっかいブラウンが釣れたよ。ファイト中にワカサギを10匹以上吐き出した」と“ゴッド”こと、岩沢友幸さんから連絡をもらいました。いつも神懸かった釣りをするので“ゴッド”と呼んでいます。

 場所は箱根の芦ノ湖です。マスの大量放流で有名だったこの湖も、より自然に近い環境でマスが育つように、とワカサギの増殖にも力を入れたためか、それを食し、野生化する魚が増えたようです。写真を見たらまるでヘラブナのように太ったブラウンでした。

 そして3月下旬“ゴッド”と芦ノ湖に行きました。早朝、フライを沈めて探っていると魚が跳ねていました。明るくなってから確認すると、それは“ゴッド”が釣ったようなブラウンでした。
 早々にフローティングラインに変え、水面に浮くワカサギフライ、通称「ドラワカ」にチェンジ。このフライは産卵を終え弱った、あるいは死んだワカサギが水面に浮いているのを模していて、それを食べるブラウンやニジマスが水面を割って食いついてくるので時折、バシャっと凄い音がします。

 釣り方はフライをキャストして待つだけ。風でたるんだラインを引いて張っておくだけです。そしてフライの横に浮いていたワカサギを捕食するのが見えたりするとさらにヒートアップするのです。

 私のフライへは、水面が盛り上がるだけでなかなか食いつきませんでした。これは直前で見破ってUターンしているのでそうなるのですが、やる気がある証明です。

 “ゴッド”は魚がその前に来たときは「ドラワカ」をことごとく見破られたので「ストリーマー」という小魚に似せたフライを水中に泳がせて釣ったそうです。

 「それに変えてみるか?でも水面でライズしているし」と思った時、黒い影が浅瀬にやってきました。大型魚の群れか?コイではないみたい。

 よく見るとそれはヘラブナでした。しかも全部30センチ以上の尺ベラ。沈んだワカサギがいるあたりの湖底を突っついているように見えました。さらにそのヘラブナに交じって良型のニジマスとブラウンが泳いでいました。

 これを狙わないわけにはいきません。フライを沈んだワカサギのような白いものに変え、群れの進行方向に投げこみました。群れの中からスーっと魚が近づいてきてドキドキしながら見ていると、それはニジマスでした。ヘラブナはフライを全く無視していました。

 群れのいないところへフライを投げても魚は反応しないので、群れの周りに集中して投げ込んでいると、ヘラブナがスパッとフライを吸いこみました。

 放流直後のニジマスとは違い、野生魚ですから釣った価値もあります。サイトフィッシングですから余計にね。
 “ゴッド”はワカサギフライを沈めて、見事なブラウンを仕留めました。それは私が釣ったヘラブナよりも太った60センチ弱、重さは3キロを超えていそうでした。

 ゴッドは「タイプ4」というとても早く沈むラインを使って、宙層を早引きしてヒットを得たそうです。早々に「ドラワカ」を諦め、そこでもワカサギを食べている魚がいるだろうと思って沈めていた、と言っていました。

 そういう臨機応変な発想も大切だと、痛感した一日でした。

(東京海洋大学客員教授)

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