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身締まり美味 イシモチ素干し煮

[ 2021年3月1日 07:18 ]

良型イシモチの一荷 
Photo By スポニチ

 【一釣一品 食べま専科】イシモチの素干し煮を食す。余分な水分が抜けて美味。遠い昔、何かで目にした覚えがあってね。トライしてみたくなった。ここは神奈川県八景・鴨下丸に向かうしかない。(スポニチAPC・町田 孟)

 イシモチはいわば源氏名よ。赤い灯、青い灯の下にいらっしゃるおねえさんたちでおなじみでしょ?自粛期間なんで、ちょいとご無沙汰だけれど。難読漢字では石首魚。頭骨の中にある耳石が大きいから付けられたとか。
 標準和名はシログチ。漢字で書けば白愚痴。由来は釣り上げるとグウグウって泣くから。浮袋を震わせているらしい。もう知っているよね。

 「いらっしゃいませ~」。水割りを作りつつ生い立ちとかをボソボソ語られたことないかな。わっと騒ぎたいのに嘆かれてもねえ。

 【釣戦】仕掛けは全長1・8メートルで幹、ハリスとも2号。白地ムツ12号3本バリ。オモリ30号。

 関東春二番、小潮回り。ビュンビュンの風をかわしながらの厳しい条件だった。言い訳じゃないけれど。

 そんな中、良型をビシバシ決めて見せてくれたのが江端直人“見習い”船長=写真=だ。「オモリ1個分持ち上げて、船の揺れでトンと底を叩くくらいに維持。時折竿いっぱい持ち上げてやるんです。そうすることで仕掛けが新しい場所に入る。こんなに潮が利かない時は特にマメに」。タナ取りはわずか数センチ。微妙なロッドワークが必要だ。入門しやすい釣りモノだが、臨機応変にしなきゃ。

 【クッキング】実は宿に置いてあったレシピが古本の間から出てきて「揚げてから煮るとコクが増す」ってあったのよ。一理ある。それが消えかけていた記憶「素干し煮」を呼び戻したってわけさ。下処理したら網かごに入れて1日干すだけ。水分を飛ばすってことで身がしまる。しょうゆ、水、酒、みりん、砂糖で煮る。しょうがは必須。付け合わせにゴボウ、ニンジン、キノコ類。
 鴨下流も試した。小麦粉を付けて揚げるというよりムニエルに。味の絡まり具合がよくなる。和洋折衷か。ご飯にいいかも。どちらも煮るのは6、7分がメド。落としふたを忘れずに。
 煮付けって郷愁があるよね。育った家の味っていうのかな。  
 子供の頃、煮魚ばかりで育ったという家人。「揚げた方が香ばしくて好き。干してからも悪くなけれど煮汁はウチ風じゃない。教えておけば良かった」。うっせいわ。それを愚痴ってんだ。

 ○…同期の桜が並んでいた。三宅章二朗さんと鈴木寿衛さんだ。共に68歳、住まいも川崎市。会社の元同僚で退職後も「予定通りにはいかないこともあるが、月1回は一緒にと話している」仲だ。風にあおられながら互いの写真を撮り合うなど実に楽しそうだった。

 ○…江端“見習い”船長はUターンしてきた。「10年ほど前に乗っていたんですが、故あって」陸に。しかし、思い断ち切れず「宿にお願いしたら、気持ち良く迎え入れてくれて」。今は仮免卒業目指して猛勉強中。鴨下芳徳船長=写真=は「もうすぐですよ」。デビューをにおわせた。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、八景・鴨下丸=(電)045(781)8410。出船午前7時半。乗合料金7500円。

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