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“絶景ポイント”でニジマス頂き 富士山真正面に光り輝く30センチヒット

[ 2021年2月28日 07:11 ]

絶景のポイントで。右から杉山さん、私、吉冨さん。
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】本栖湖は富士五湖で最も深い水深(122メートル)を誇る湖です。透明度も本州で一番という11・2メートルもあり、条件がいい時は20メートルを超えるそうです。この湖が全国的に有名になった伝説があります。40年以上前、ブラウントラウトが移植されました。

 夏は深場に潜んでいて巨大化したブラウン。水温が10度を切る11月末ごろから浅い場所に出てきて、小魚を追い上げる。掛かればみんな50センチ以上、中には70センチを超える大型も釣れてそれをルアーやフライで迎え撃つ、というのが当時のスタイルでした。
 年末年始には多くのアングラーたちが夢と希望を持って全国から押しかけたものです。私も学生だった頃、師匠の故西山徹さんに誘われて何度もご一緒しましたが、私には40センチに満たない小型が1匹ヒットしたのみでした。

 その後、80センチが釣れて大騒ぎになった頃の1987年(昭62)2月11日、埼玉県の友人、降旗章さん(故人)がシングルハンドのフライロッドで82センチ、6・8キロという巨大なサイズを釣りました。これが当時の日本記録(今はJGFAの公認記録で北海道・支笏湖で釣れた14・05キロ)として話題になりました。私は雑誌の取材で本人から直接話を聞いて、現物も見ましたがサケのように巨大でした。

 時は流れ、今ではブラウンはほぼ姿を消し、ルアーフライの対象魚としてはニジマスが主体になりました。

 今回はブラウンラッシュが収まった25年ほど前から本栖湖に通い始めたという御殿場市在住のルアー名人・杉山和己さんと埼玉県のフライの達人・吉冨健志さんと一緒に行ってきました。

 私はルアーとフライ両方を準備しました。

 湖畔の売店、湖仙荘で遊漁券を買い、釣りを開始したのは午前10時ぐらいでした。杉山さんは通った実績を惜しみなく教えてくれて、最初は「大久保キャンプ場前」という人気のあるポイントで釣りました。朝は風もなく、声も響き渡るほどでしたが、そういう時はあまり期待できないそうです。ここではフライを試しました。

 フライは「ワカサギストリーマー」。風が吹いて、15メートルぐらい離れた仲間の会話が聞きにくくなるぐらいがちょうどいい、しかも本栖湖で吹く風は、湖岸を回るので、風で波立ち、しかも追い風という時が釣りやすいそうです。

 1時間ほどして風が吹き始め、向かい風になったので今度は反対側のスポーツセンター前に移動しました。ここは遠浅でフライも根掛かりをしましたが、ちょうどフライをキャストしたその10メートルほど沖でライズがありました。

 休憩を挟んで午後遅く入ったのは、富士山が真正面に見える絶景のポイント。ここでは私はルアーを試しました。ルアーは中禅寺湖で実績のある「トリコロールスプーン」10グラム。杉山さんがこのサイズのスプーンがいいと教えてくれました。

 表層から下層まで念入りに探りましたが、ここでも当たりはありませんでした。しかし20メートルぐらい離れていた場所で吉冨さんがヒット。駆けつけると30センチぐらいの可愛い、しかし銀ピカで美しいニジマスでした。フライは管理釣り場で使うような「マラブー」でした。(東京海洋大学客員教授)

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