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“三笘の1ミリ”に列島興奮!! 「脚が長くて良かった」執念クロスで碧のV弾呼び込む

[ 2022年12月3日 05:10 ]

FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会1次リーグE組   日本2-1スペイン ( 2022年12月2日    ハリファ国際スタジアム )

<日本・スペイン>後半、田中のゴールをアシストする三笘(左)(撮影・西海 健太郎)
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 わずか「1ミリ」が勝負を分けた。1―1に追いついた直後の後半6分。後半から左ウイングバックでピッチに入った三笘は、右からの堂安のクロスを懸命に追った。左ポスト脇から外に出そうになるボールへ、最初に前田が滑り込んだが届かない。さらに後ろから三笘が必死に左足を伸ばした。ラインを割ったかのようにも見えたボールを中央に折り返すと、川崎F時代の同僚で、幼なじみの田中が押し込んだ。

 ボールは白線に接していなかったが、白線の上にわずかにかかっていた。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の2分半の確認で得点が認められた。「1ミリかかっていれば良いなと思っていた。入った後は脚が長くて良かった、と」。勝利に対する執念、ボールに対する執着がこもったアシストだった。

 届く――。細部へのこだわりは昔から人一倍だった。川崎Fの「青玄寮」で寮母を務める田中久美さん(66)は「オーガニックの野菜を買ってきて“僕に出してください”って。(そういう選手は他に)いないですね」と明かす。オフになると近隣のスーパーに出かけ、栄養価の高い小松菜やアボカドなどの有機野菜を購入。寮では試合前以外は生野菜を食卓に出すが、三笘は自ら購入した野菜を温野菜にしてもらって食べていたほど体調管理に気を使う男だ。

 大番狂わせの主役の一人は守備面でも奮闘した。最終ラインまで引いて「1対1で負けないことだけを考えた」。献身的に走り、体を張り、守りでもボールに足を伸ばした。

 スペインに延長戦の末に0―1で敗れた21年東京五輪の準決勝のリベンジも果たした。「東京五輪の悔しさもあった。このまま終わりたくない気持ちが強くて、国民の皆さんにもああいう姿で負けて帰れないと思った」。次は歴史の扉を開くための新章に突入する。相手は前回準優勝のクロアチア。強豪国を3度打ち倒して、再び世界にその名をとどろかせる。

 ≪東京五輪のリベンジ≫森保ジャパンの勝利は1年4カ月前の雪辱でもあった。日本は東京五輪準決勝でスペインと対戦し、延長後半にアセンシオに決勝ゴールを決められ敗戦。この日の日本はオーバーエージ枠の吉田らを含め9人の五輪代表がピッチに立ち、スペインも5人が出場。決勝弾を決めた田中は「五輪の借りを少しは返せた。悔しさをここで晴らすことができた」と胸を張った。森保監督が五輪を兼任していたからの“リベンジ劇”だったかもしれない。

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2022年12月3日のニュース