鈴木啓太氏　“ロー”から上げて再び落とす　見事だったギアチェンジ

FIFAワールドカップ（W杯）カタール大会1次リーグE組   日本2－1スペイン （ 2022年12月2日    ハリファ国際スタジアム ）

＜日本・スペイン＞後半、交代する堂安（左）と三笘（左から3人目）＝撮影・小海途　良幹
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　【鈴木啓太　視点】日本のギアチェンジが見事だった。予想どおりスペインがボールを持ち、日本が受けて立つ展開で、前半は低いギアで失点しないようにし、後半どこかでギアを上げてゴールを狙い、また冨安や遠藤を入れてギアを落とすプランだったと思う。

　日本はスタートから5―4―1の5バックだった。前からプレッシャーをかけにいっても、スペインがうまいのでなかなかボールが奪えないし、失点のリスクもある。そこで前半は両ウイングバックがほとんど上がらず、後ろに重心を置いて相手にスペースを与えないようにした。ギアを上げる準備で、最少失点で抑えてタイミングが来るまで待つ状況をつくりたかったのだろう。後半から三笘、堂安と、今大会調子のいい選手を入れて前への推進力を出し、両サイドが上がって3バックにした。逆転した後は冨安を入れ、三笘もあまり上がらないようにして再び5バックにし、ギアチェンジしていった。

　決勝トーナメント1回戦で対戦するクロアチアは相当強い。技術が高く、パワーもある。縦のスピードもあり、難しい相手だ。中盤でしっかりつなげる選手とゲームをコントロールできる選手がいて、緩急をつけてくる。中盤の構成力はトップクラスで、前線にはモドリッチらタレントがそろっている。ポテンシャルも高く、ドイツやスペインと同等のレベルのチームだ。ただ、日本はドイツとスペインを破っているし、クロアチアも相当警戒している。不可能はないと思う。（元日本代表MF）