矢沢永吉の“オトシマエ” 12・14約束の150回目武道館 リベンジの歴史に刻む新たな伝説の幕開け

[ 2023年4月3日 04:00 ]

12月14日に武道館150回目リベンジライブを行うことを発表した矢沢永吉
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 ロック界のカリスマ、矢沢永吉(73)が昨年12月に喉の不調で開催を断念した通算150回目となる日本武道館(東京都千代田区)公演のリベンジライブを中止から1年後の12月14日に行うと発表した。

 矢沢は3日午前4時、自身の公式サイトで今年のライブ日程を公表。11月11日から「Welcome to Rock’n’Roll」と題した全9カ所18公演の全国アリーナツアーを敢行し、その終盤に前人未到の武道館150回記念ライブが組まれている。

 昨年の50周年イヤー。東京・国立競技場でB’zやMISIAをゲストに迎え、日本ロック史に残る歴史的公演を成功させた。そんなメモリアルイヤーを締めくくるのが、矢沢のファンの“聖地”でもある日本武道館での記念ライブだった。その2日前から高いトーンの声に異変を感じた矢沢はいろいろ手を尽くしたが、公演当日に断念。「本当に悔しい気持ちでいっぱいです」と断腸の思いの決断だった。

 振り返れば、矢沢の人生は「最初、散々な目に遭う。2度目、オトシマエをつける。3度目、余裕」の名言がある通り、屈辱や失敗から何度もはい上がってきた“リベンジの歴史”でもある。オーストラリアで35億円の詐欺被害に遭い、人生最大の窮地に追い込まれた時も、4年後には東京のド真ん中の赤坂にレコーディングスタジオを建設。利用しやすい音楽施設を造るという夢を実現させた。

 その意味で武道館は矢沢の“オトシマエ”の象徴。バンド「キャロル」解散後の初のソロツアーはブーイングが起こり、中でも長崎・佐世保公演は1500人収容の会場に観客200人という屈辱。そこから2年かけて全国の会場で片っ端からライブを行い、その集大成として「必ずやってみせる」とファンに約束した日本武道館公演を日本のロック歌手で初めて実現。中に入れないファンを含めて1万2000人以上が集まった。

 矢沢は昨年末の150回公演を断念した際「これってなんだろうね。ヤザワの人生、やっぱり簡単にはいかないね」と明かしていた。だからこそ、新たな情熱をもって進化し続けることができる。ファンとの“約束の武道館”。矢沢の新たな伝説の幕開けだ。 (阿部 公輔)

 ≪昨年12月20日「悔しい」喉の不調で当日キャンセル≫矢沢の150回目の武道館公演は無念の当日キャンセルだった。公式サイトで「ボーカルとしての一番大事な喉の不良により、中止とさせていただくことになりました」と報告した。

 武道館公演は昨年12月に4日間予定された。15、17日に続く18日の公演で喉の不調を訴え、150回となるはずだった最終日の20日の公演を断念。「この2日間、どうにか戻そう、なんとかステージに立とうと、いろいろな治療をし、手を尽くしてきたのですが、本日、矢沢本人が難しいと判断しました」と説明。ライブを第一に活動してきただけに「こういう中途半端な形ではステージには立ちたくないという思いと同時に、本当に悔しい気持ちでいっぱいです」と口惜しさをにじませた。

 ≪7・28フジロック初参戦≫今夏に新潟県湯沢町の苗場スキー場で行われる野外音楽祭「フジロックフェスティバル」への初参戦も決まった。7月28~30日の3日間開催のうち、28日に登場する。日本の野外フェスに初出演したのは03年、大阪の万博記念公園で開催された「ミート・ザ・ワールド・ビート」だった。その後、06、09、14年に「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」、07、10年に「ライジングサンロックフェスティバル」、10、14年に「サマーソニック」に出演。フジロック参戦で4大フェスを制覇することになる。

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