見上愛 「精子がほしい」に衝撃 ドラマ「往生際の意味を知れ!」主演

[ 2023年3月6日 09:00 ]

カメラに向かってほほ笑む見上愛
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 【牧 元一の孤人焦点】7日にスタートするMBS・TBS系のドラマ「往生際の意味を知れ!」(火曜深夜放送)に主演する俳優の見上愛(22)がインタビューに応じ、役柄について明かした。

 ドラマは、「週刊ビッグコミックスピリッツ」で米代恭さんが連載中の人気漫画が原作。謎の多い美女・日下部日和(見上)と元彼・市松海路(青木柚)を主人公とする異色ラブストーリーで、米代さんは「ドラマ化の話があった当初から日和はこの人しかいないと思った」と日和役を見上に託した。

 「2年前くらいに米代さんにお会いして雑談した時に『実写化されることがあったらやってほしい』とお話がありました。米代さんがこの作品を大事にしているのを伺っていたので、決まった時には、とても責任を感じました。期待を裏切れない、絶対に失敗できないという気持ちが強かったです。漫画で日和を見て、顔が似ているなと感じました。ただ内面には全く共感できず、難しい役だな、と思いました」

 日和は著名な作家の長女で、国民的エッセー漫画のモデルという人物。交際していた海路に突然、別れを切り出して姿を消したが、7年ぶりに海路の前に現れて「精子がほしい」と持ちかける。

 「漫画を読んだ時、『?』が10個くらい浮かびました。『精子がほしい』という言葉は、衝撃が大きかったです。この作品はきっとこうなんだろうと思って読み進めていくと、裏切られます。ドラマの脚本は日和の気持ちが分かりやすく描かれていて、突拍子もない女の子に見えるけれど、意外に、ただまっすぐに自分の大切なものを守ろうとしている子なんだと思えて、そこが面白いです」

 日和の特徴のひとつが「アルカイックスマイル」。古代ギリシャの彫刻や古代日本の仏像に見られる、口元だけのほほ笑みだ。

 「仏像の写真を見たり原作の絵を見たりしてイメージしました。唇は笑っているけれど目の魂が抜けている感じがアルカイックスマイルで、それが、何を考えているのか分からなくてちょっと怖いという日和の雰囲気につながっています。事前に1回も練習しなかったんですけど、宣伝用の写真の撮影で初めてやってみた時に、できているかも!と思いました。ウィッグやメーク、衣装の力を借りることで日和と同じ表情が自然にできたんだと思います」

 何らかの目的のために元彼の精子を求めるという謎の女性を演じるためには相当な役作りが必要だった。

 「前半はあまり現実感がなく気味悪さを意識し、意図的にアニメっぽい感じがするような話し方にしました。後半では逆に人間味を出すようにし、気持ちの変化が声で伝わるように意識しました。昨年出演した舞台で一人で何役も演じた時に、演出の方から声で演じ分けるようにアドバイスをいただき、いろんなパターンの声を出すことを覚えました。日和は感情を読み取るのが難しく聞き入ってしまうような声がいいと思い、低めのトーンを心がけました」

 海路役の青木柚とは、NHKドラマ「きれいのくに」(2021年)、配信ドラマ「モアザンワーズ」(22年)以来、3回目の共演となった。

 「居心地が良くて、幼なじみみたいです。いつお会いしても初共演の時と空気感が変わらず、とても信頼できます。どんな役柄で向き合っても、それはそういうものだと思わせてくれる力を感じて、現場で疑いを持たず芝居に挑めます。同時に、こちらの全てを見透かされている感じがあり、怖さもあります」

 青木は見上について「原作の米代さんが『この人しかいない』と言った通り、漫画のようなことをやっても成立する絵力がある。日和として存在できる強さがある」と指摘。ドラマの見どころの一つとして「日和のアルカイックスマイル」を挙げ、「いちばん近くで見たが漫画そのもの。アルカイックスマイル集を作ってほしい」と称えている。

 「ありがたいです!私はこれまで振り回される役が多かったけれど、今回は振り回す役なので、自由奔放さや憎めなさを出せたらいいと思いました。取り繕っていた鎧を少しずつはがされ最後に裸にされるような役も珍しいので、ぜひ注目していただきたいです」

 一つのドラマの中で見せる振り幅の大きな芝居に注目だ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2023年3月6日のニュース