【芸人イチオシ】ゴリけん 養ったマネジメント力が導いた現在地 歩み止めず「めちゃくちゃ火がついてる」

[ 2023年3月6日 08:30 ]

剣道4段を持つゴリけん
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 福岡が拠点のゴリけんは(49)はテレビ西日本のバラエティー「ゴリパラ見聞録」(金曜深夜0・55)を含め九州地方で6本ものレギュラーを持つ“ローカル番長”だ。「…見聞録」は福岡の街中でインタビューした人の要望に応え、日本全国どこへでも出かけて、お望みの写真を撮ってくる旅番組。人間性丸出しの珍道中が視聴者のハートをつかみ、全国に40~50代を中心とした「ゴリパラキッズ」と呼ばれるファンがいる。

 芸能界にも“キッズ”がおり、KAT―TUNの亀梨和也(37)はその1人。野球を見るためCSチャンネルをつけていた時にたまたまハマり、ラジオでゴリパラ愛を語るほど。フジテレビ「ぽかぽか」(月~金曜前11・45)でも番組が紹介され、台場にはゴリけん見たさに約300人のファンが集まって話題になった。

 このゴリけん、地元に強いこだわりがあるのも愛される理由だ。「…見聞録」のオープニングテーマでは“東京に槍を刺す!”と宣言しているが「福岡から出たくない」とキッパリ。このご時世にふさわしく、九州から発信する形でメジャーになることを目指している。

 ゴリけんは1998年に出身地の熊本から芸人になるため、“笑いの本場”大阪にわたってデビュー。その後東京に向かうも鳴かず飛ばず。06年に所属事務所の九州支部の立ち上げで転勤が告げられ、そのまま移籍。それがブレークのきっかけとなるのだから人生、何が起こるか分からない。

 「今、思うと仕事がない時に仕事をくれた訳だからありがたいけれど、当時は前例がないから“どうしよう”と思いました。本当に追い込まれていた」。裸一貫のリスタートは想像以上にきつかったという。

 移籍といってもマネジャーなしで自ら売り込みを開始。全て手探りで「パソコンを買ってmixiで仕事を取った。何でもやりますと書いて最初に来た仕事が運動会の代走。次に引っ越し…」。初めはお笑いは全く関係なしの何でも屋。それでもコツコツ仕事を積み重ねていくと、依頼者がたまたまテレビ局の制作関係者などの縁がつながり道が拓けた。

 試行錯誤を重ね、スポンサー獲得や新番組立ち上げなど自らマネジメント力を養い、九州入りして3年後の09年に「ゴリパラ見聞録」が誕生した。「根底には負けるもんか、精神があった」。その一心でここまでやってきたという。

 福岡はさまざまなことを乗り越え、築き上げた場所だ。「…見聞録」は九州から上京した熱烈なファンらが全国に広めたとも言われており、ゴリけんは「本当に感謝。末永く見守っていただけますか」と“キッズ”たちに呼びかけた。

 今年で50歳。安定した生活は手に入れたが、マネジャーなしの時代と同じくらい燃えている。「やっぱり50代になってくると福岡の仕事もニーズが絶対に減ってくる。それはもう世の常と言いますか。何かやらなきゃいけないってことで、めちゃくちゃ火がついてる」。動き出したら止まらない人間ブルドーザー。“出戻り”から17年間で鍛え上げた力で、再びブイブイ仕掛けていく。

 ◇ゴリけん 1973年(昭48)10月24日生まれ、熊本県出身の49歳。趣味は幕末話、80~90年代J-POP音楽。特技は、剣道(4段)、70%ものまね、福岡案内。

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2023年3月6日のニュース