BS日テレ 初のプロレス生中継 「視聴者層と合致」

[ 2022年9月17日 08:00 ]

諏訪魔(左)と宮原健斗(C)全日本プロレス
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 【牧 元一の孤人焦点】BS日テレが18日午後7時から全日本プロレスの試合を生中継する。テレビのゴールデンタイムからプロレス生中継が消えて久しい現在、多くのファンの熱い視線を集めそうだ。

 なぜ生中継が実現するのか。BS日テレの高井昭男プロデューサーは「日本テレビ『プロレス中継』に関わっていたスタッフがBS日テレに在籍しており、また全日本プロレス関係者と懇意にしていたため、放送の相談がありました」と発端を話す。

 最近のテレビではBS朝日が2020年7月3日、新日本プロレスの試合(コロナ禍で無観客)をゴールデンタイムで生中継した例がある。

 BS日テレは2000年の開局当時、「格闘技アワー」という枠があり、ボクシングとプロレスを交互に放送。プロレスに関しては当時、日本テレビが中継していたプロレスリング・ノアの試合を放送していたが、プロレスの生中継は今回が初めてとなる。

 実現には編成判断が必要だったが、高井プロデューサーは今回の決定について「古くは地上波ゴールデンタイムで放送されていた全日本プロレスには多くのファンがいらっしゃり、BS視聴者層と合致しているのではないか。また、現在も応援し続けているファンの方々に、BS日テレを改めて知っていただく機会となるのではないか。そして、プロレスというコンテンツもBS日テレで生中継した実績がないため、新たな視聴者層の獲得にもつながるのではないかと考え、編成するに至りました」と明かす。

 生中継するのは、東京・日本武道館で開催される全日本プロレス50周年記念大会。この大会では、三冠ヘビー級王者・諏訪魔対挑戦者・宮原健斗、世界ジュニアヘビー級王者・タイガーマスク対挑戦者・青柳亮生、世界タッグ王者・芦野祥太郎、本田竜輝組対挑戦者・大森隆男、征矢学組が予定されている。

 高井氏はメインイベントの諏訪魔対宮原戦について「三冠ヘビー級は全日本プロレスを象徴する、同団体で最も権威のあるタイトルですので、熱戦が繰り広げられるのはもちろん、何度もこのタイトルをかけて戦った両者の激突ですので、全日本プロレス史上最高の試合になることを期待します」と話す。

 実況は全日本プロレス、プロレスリング・ノアで実況経験のある日本テレビの平川健太郎、菅谷大介、森圭介、山本健太の各アナウンサー。解説はかつて全日本プロレス所属選手として活躍し、三冠ヘビー級王者や世界タッグ王者などに君臨した小橋建太氏が担当する。

 生中継は午後7時から8時54分までの予定となっているが、試合が継続している場合はチャンネルを141から142に移して延長するという。

 制作は日本テレビのスポーツ局と日本テレビグループの制作会社・日テレAXONが担当。カメラの台数は7台を予定。高井氏は「日本テレビで放送していた時代のオールドファンだけでなく、若者やプロレスビギナーに分かりやすい中継を心がけます。また、プロレスの凄さや楽しさをより感じてもらえるように、選手の魅力や技を丁寧に伝えたいと思います」と語る。

 テレビとプロレスの距離を縮める一歩になりそうだが、気になるのは今後の放送だ。

 高井氏は「現段階では、予定している放送はありませんが、今回の中継の反響をみて検討したいと思います」と話す。

 まずは出場選手たちの激闘に期待する。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年9月17日のニュース