渡辺王将2勝!薄氷を踏む逆転劇 広瀬「いつの間にか攻守が入れ替わっていた」

[ 2020年2月10日 05:30 ]

第69期大阪王将杯王将戦 7番勝負第3局第2日 ( 2020年2月9日    栃木県大田原市・ホテル花月 )

第3局を制した渡辺王将は、与一太鼓のメンバー・平久江利実さん(左)、須堯紀美恵さん(右)と笑顔で太鼓を叩く(撮影・沢田 明徳)
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 防衛を期す渡辺明王将(35)が薄氷を踏む逆転劇で2勝目を挙げた。第2日の午前中から広瀬章人八段(33)の猛攻に苦しい対応を迫られ、土俵際まで追い込まれながら、一瞬のうちに体を入れ替えて攻守交代。複雑難解な終盤戦に持ち込んで鼻差の勝利を呼び込んだ。終了は午後7時24分。第4局は20、21日に神奈川県箱根町のホテル花月園で行われる。

 互いの胸先にジャックナイフを突きつけながら断崖絶壁の縁を歩くようなクライマックス。怪しげに輝く月光を東の空から受けながら勝ち名乗りを受けたのは渡辺だった。

 明らかに劣勢だったのはこの日の昼食休憩時。広瀬の84手目△6六桂は「見落としていた。思ったより悪くなったか」と振り返る。成桂2枚に左サイドを制圧され、3八にもと金を許す挟み撃ち状態だ。その後はソフトの評価値で1000点もの大差がつく場面もあり、さしもの王将も絶体絶命のピンチに立たされたのだが…。

 「大駒を蓄えて、(相手の)いやらしい筋をつくれればいいか」

 半ば開き直ってジワジワと反撃を開始。深く静かにギャップを埋めていく。夜戦に入りかけた午後6時前には均衡状態からわずかにリードを奪う。「いつの間にか攻守が入れ替わっていた」という広瀬も歯を食いしばって自らにムチを入れる。トップ棋士同士の息詰まるデッドヒート。そして迎えた109手目▲6一飛(第1図)で渡辺に針が傾き始めた。

 最後は自王が上部脱出に成功し「局面として勝ちになったかなと思いました」。さしもの渡辺も終局後の表情には苦悩の痕跡がにじんでいる。

 1月開幕の王将戦に加え、2月に始まった棋王戦5番勝負にもタイトルホルダーとして出場中。このダブルヘッダーは昨年を含め複数回経験しているが、今回はさらに叡王戦(4月開幕)の挑戦者決定3番勝負に初進出し、前代未聞の「番勝負トリプルヘッダー」進行中だ。

 「精度の高い研究は難しくなりますが、まあなんとかやっていきます」と覚悟を決めている渡辺。13日には叡王戦挑決第2局、16日には棋王戦第2局が控えている。そして王将戦の次戦は20、21日。「今日のような内容の濃い将棋を指したいですね」と、防衛王手がかかる箱根対局を見据えていた。

 ▼広瀬八段 先手の理想型を黙って見ていたら作戦負けになるので(前半は)少しポイントを稼ぎにいった。勝ちやすいとは思ったが、正確に指せなかったかもしれない。

 《台風被害駐車場 復旧間に合った》昨年10月の台風19号の影響で、対局場となったホテル花月の隣を流れる那珂川が増水し、河川敷にある駐車場が大きな被害に見舞われた。復旧工事は1月末にやっと始まり、使用できるようになったのは王将戦開始の2日前。田代彰彦総支配人は「間に合ってよかった」と胸をなで下ろしていた。

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