八千草薫さん、年齢重ねても若々しく「共演者が見とれてセリフ飛んだ」伝説

[ 2019年10月29日 07:41 ]

八千草薫さん死去

82年、スポニチ本紙インタビューの際の八千草薫さん
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 演技の世界に飛び込むきっかけは宝塚歌劇団の新聞広告。「戦中は奇麗なものを見ることがなかった。生徒募集の記事を見て入りたいと思った」と戦後1期生になり清純派の娘役で人気を博した。

 映画専科所属で外部出演もこなし、54年にはヒロインお通を演じた「宮本武蔵」が米アカデミー賞名誉賞(外国語映画賞)を受賞。雑誌の「お嫁さんにしたい女優」で何度も1位を獲得した。共演者から「美しさとオーラでセリフが飛んだ」と言われるほどの美貌で、後に故森繁久弥さんが「できれば結婚したいと思っていた」と明かしたこともあった。

 70年代にはイタリアの人気女優ソフィア・ローレン(85)と、スクーターCMの“対決”が話題に。ヤマハ「パッソル」のCMに起用され、おしとやかにスカート姿で膝をそろえて運転。「やさしいから好きです。」のキャッチフレーズで、ホンダ「ロードパル」に対抗した。

 良妻賢母のイメージを一変させたのが、77年のTBSドラマ「岸辺のアルバム」の浮気する主婦役。脚本の山田太一氏に「本気で人を好きになればいい」と背中を押され、孤独な主婦のときめきを表現。真っすぐなまなざしでインパクトを与えた。一方で仕事に対しては厳しい一面も。75年、山口百恵さんの母親役を務めたTBSドラマ「赤い疑惑」を突然降板。世間を驚かせた。当時、百恵さんが多忙で、そのスケジュールに対応するよう求められたことなどが原因とされる。

 趣味は夫の谷口千吉さんとの山歩き。年に3回は八ケ岳に登り、80歳を過ぎても「毎日1時間は歩く」という健脚ぶり。年齢を重ねても、若々しい美しさが印象的な女優だった。

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