桜戦士の背中押す2文字「日本」、書家・佐田苔鮮氏が込めた思い“強くあれ”

[ 2019年10月18日 08:00 ]

自身が書いた「日本」が描かれた日本代表の練習着を手にする佐田苔鮮氏
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 ラグビーW杯で史上初めて8強へ進んだ日本代表へ、練習着の「日本」の文字を書いた書家がスポニチ本紙の取材に応じ、エールを送った。埼玉栄中学高等学校の元副校長で日本書写技能検定協会中央審査員の佐田苔鮮(たいせん)氏(63)。「優勝に向けて一歩ずつ壁を乗り越えていってほしい」とさらなる躍進を願った。

 大会前、日本代表のジャージーも手掛けるスポーツアパレルブランド「カンタベリー」の社員から共通の知人を通じて「“日本”と書いてほしい」と練習着の背中部分に入れる文字の依頼を受けた。いろいろな表現方法を模索する中で「戦士が背負う“日本”。強いイメージがないといけない」と力強さを意識。「日本」の「本」のはねやはらいで強さを表し、筆の入れ方にも力を込めた。勝ってほしいという願いを込めて書き上げ「選手からの評判もいいと聞いています」とうれしそうに話す。

 佐田氏が学んだ大東文化大の書道学科は書道界トップクラスで多くの書家を輩出。小渕恵三官房長官(当時)が掲げた「平成」は佐田氏の先輩河東純一氏、菅義偉官房長官が手にした「令和」は後輩の茂住修身氏が揮毫(きごう)を任されていた。佐田氏による練習着の文字も歴史的快挙とともに国民になじみが出てきた。

 「日本」を背負い練習を続ける日本代表は1次リーグを4戦全勝で突破する快挙を遂げた。準々決勝(20日)の相手は南アフリカ。「前回のW杯同様、倒してほしい。“優勝”という文字を書いて祝福したい」と頼もしいフィフティーンの背中に思いをはせた。

 ◆佐田 苔鮮(さた・たいせん、本名佐田太次郎=さた・たいじろう)1956年(昭31)6月9日生まれ、長崎県出身の63歳。小学3年から書道を始める。79年、大東文化大学文学部卒業。同大学教授の故永井暁舟氏に師事。屋号、校歌碑、墓標、看板など多数揮毫。日本書写技能検定協会の評議員として講習会で指導者対象コースの指導も担当する。

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