「ひと夏の経験」作詞家、千家和也さん死去 百恵さんら手掛け70年代席巻

[ 2019年6月27日 05:30 ]

死去した作詞家の千家和也さん(00年2月撮影)
Photo By スポニチ

 「終着駅」や「ひと夏の経験」など数多くのヒット曲の歌詞を手掛け、1970年代の歌謡界をリードした作詞家の千家和也(せんけ・かずや、本名村越英文=むらこし・ひでふみ)さんが13日に死去したことが26日、分かった。73歳。千葉県出身。葬儀・告別式は近親者で行った。

 なかにし礼さんに師事。72年に奥村チヨさんの「終着駅」で日本レコード大賞作詩賞を受賞した。性的なにおいを漂わせた中に、女性の一途(いちず)な思いを描く歌詞は秀逸。「青い果実」(73年)「ひと夏の経験」(74年)など山口百恵さんのヒット曲も手がけた。

 「あなたが望むなら 私何をされてもいいわ」

 「青い果実」の歌詞は世間に衝撃を与えた。百恵さんは当時14歳。森昌子(60)桜田淳子(61)とともに「花の中三トリオ」と呼ばれた。百恵さんは自伝「蒼い時」で「私の心は衝撃に打ちひしがれてしまった。(中略)『こんな詩、歌うんですか』」と心情をつづっている。

 酒井政利プロデューサーからタイトルの提案を受けた千家さんは、百恵さんのイメージとのギャップに悩みつつ「それを白紙にし、作品として独立させたものを仕上げることに集中した」と後に語っている。この曲から、百恵さんが大胆な歌詞を歌う「青い性路線」が始まり、「あなたに 女の子の一番 大切なものをあげるわ」と歌った「ひと夏の経験」も大ヒットした。

 81年、静岡県に転居。その後は、創作活動から離れて、自然の中で執筆活動などをしていた。将棋が好きで、音楽業界に“楽将クラブ”を発会。王将戦の対局観戦に訪れることもあった。

 麻丘めぐみに「わたしの彼は左きき」、キャンディーズに「年下の男の子」などを提供。アイドル歌謡だけでなく、殿さまキングス「なみだの操」などのヒット歌謡曲も手掛け阿久悠さん、安井かずみさんらと並び、時代の寵児(ちょうじ)だった。

 ◆千家 和也(せんけ・かずや=本名村越英文=むらこし・ひでふみ)1946年(昭21)生まれ、千葉県出身。早大教育学部中退。1970年デビュー。82年本名で書いた小説「だから言わないコッチャナイ」でオール読物新人賞。

続きを表示

2019年6月27日のニュース