「半分、青い。」脚本・北川悦吏子氏 朝ドラに革命!ラブストーリーの神様が初めて書いた出会い

[ 2018年3月26日 08:00 ]

脚本家・北川悦吏子氏インタビュー(上)

NHK連続テレビ小説「半分、青い。」の脚本を手掛ける北川悦吏子氏(C)Photo by LESLIE KEE
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 フジテレビ「素顔のままで」「ロングバケーション」「空から降る一億の星」やTBS「愛していると言ってくれ」「ビューティフルライフ」「オレンジデイズ」など数々の名作を生み“ラブストーリーの神様”と呼ばれるヒットメーカー・北川悦吏子氏(56)がNHK連続テレビ小説「半分、青い。」(4月2日スタート、月〜土曜前8・00)を担当。初の朝ドラ脚本に挑む。合同インタビューに応じると、胎児から始まる設定など第1週の出来栄えに「革命」「斬新」「冒険」「画期的」「チャレンジング」などの言葉が飛び出し、手応えが早くも伝わった。

 女優の永野芽郁(18)がヒロインを務める朝ドラ通算98作目。岐阜県と東京を舞台に、病気で左耳を失聴した楡野鈴愛(にれの・すずめ)が高度経済成長期の終わりから現代を七転び八起きで駆け抜け、一大発明を成し遂げる姿を描く。

 北川氏のオリジナル脚本。自身も聴神経腫瘍により左耳を失聴したことを、2015年5月に週刊誌で告白。失聴はショックだったが「傘を差すと、左側だけ雨が落ちない(=音がしない)ことが、ちょっとおもしろいなと。これはドラマになるんじゃないかと思った」のが今作が生まれる発端。NHKの朝ドラなら「画期的な作品になるんじゃないかと。そう思い付いた時に『半分、青い。』というタイトルも一緒にポンと出た感じでした」と振り返った。

 “画期的”の言葉通り、物語は“ヒロインの胎児時代”からスタート。第1週(4月2〜7日)にはCG映像の胎児が登場し、永野が「私、おなかの中の赤ちゃんです。名前はまだない」「私、生まれたい」などとナレーションを入れている。制作統括の勝田夏子チーフプロデューサーによると、胎児から始まる朝ドラは史上初。

 第1週の仕上がりに、北川氏も「もしかしたら朝ドラに革命を起こしたんじゃないかなと思っていて。それぐらい斬新」と手応え十分。あまりのおもしろさに、自宅で5回も続けて見入るほどだったといい「今までの朝ドラのラインアップを見ると、『半分、青い。』が明らかに異端なのは分かっていて。その中で、この冒険ができたことは、それだけで凄く大きいし、チャレンジング。よくやらせていただけたなと、NHKさんには感謝しています。企画が通ってからは、もちろんプロデューサーがいて、監督がいて、出来上がっていったんですが、こんな素敵なドラマになったか、本当に新しいドラマが誕生したんだというのが今の実感」と感慨に浸った。

 ヒロイン・鈴愛と、俳優の佐藤健(29)演じる幼なじみ・萩尾律(はぎお・りつ)が同じ日に同じ病院で生まれたという設定も、北川氏の冒険の1つ。「ラブストーリーの出会いのシーンは散々書かされてきましたが、まだ名前もない時に出会ったというのは書いたことがなかったし、少なくとも私は見たことがありません。自分でも凄いなと思いました」。近年の朝ドラ王道パターン「偉業を成し遂げる女性の一代記」は展開が分かりやすく「見やすいといえば見やすいと思うんですが、『半分、青い。』はそういうこと(見やすさ)を度外視して作られていったということが、画期的かなと思います」と胸を張った。

 第1週のサブタイトルは「生まれたい!」。「〜したい!」を半年間26週、続ける予定。「この作品のテーマでもある“生きる本能”をワンフレーズで描きたいと思ったんですね。食べたい、欲しい、泣きたい、叫びたい。『次週はこういうことがありますよ』と本当は内容を説明したサブタイトルの方がいいと思うんですが、すべてヒロインの思い、しかも、ああしたい、こうしたいということを26週言い続けられないかなと。そういうところも、私の思い付きを凄く大事にしていただきました。胎児から始まったり、聞いた人が『え?』と思うかもしれないようなことを、どんどん実現できてきたという感じです」。北川氏のアイデアが随所に詰まっている。

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2018年3月26日のニュース